公開日:2019.10.13 相続

義父の介護をしていた私にも、遺産を請求する権利があるってホント? 相続に関する法律について

昨年、民法や家事事件手続法の一部を改正する法律が成立しました。約40年ぶりの大幅見直しと言われています。では、それによって相続関係の法律がどのように変わったのか。その内容について解説したいと思います。
新井智美

執筆者:

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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執筆者:新井智美(あらい ともみ)

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「仮払い制度」の創設

これまでであれば、相続人が共同で相続した被相続人の預貯金から、相続人のうちの単独で預貯金を引き出すことはできず、分割協議が終了するまでは口座が凍結されることになっていました。
 
そのため、葬儀費用や被相続人が生前入院していた病院への支払い、さらには債務返済などで早急に支払わなければならない費用については、相続人の誰かが一時的に立て替える必要がありました。
 
しかし、2019年7月1日より、「預貯金に限定して、葬儀費用や生活費、相続債務の返済などで仮払いの必要性が認められれば、他の相続人の利害を害しない限りにおいて、家庭裁判所の判断で仮払いが認められる」ことになりました。
 
この仮払いについては、金額の上限は設けられていません。
 
また、預貯金の一定割合(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準))×3分の1×当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)、または金融機関ごとの上限金額(150万円)のいずれか低い額については、家庭裁判所の判断を仰ぐことなく、金融機関の窓口にて直接支払いを受けられるようになりました。
 
このあたりの詳細については、総務省が発行しているパンフレットでより詳しく説明されています。

「特別寄与者」「特別寄与料」の創設

被相続人が亡くなる前に、被相続人の子もしくは相続人である子の配偶者など「相続人以外の人」が無償で介護をしていたというのは、よくある話です。
 
しかしこれだと、例えば長男の嫁という立場から必然的に介護を行っていたにもかかわらず、その貢献度が全く認められないことになります。
 
そうなると、「他に相続人であっても介護を行わなかった人がいるならば、公平性を欠くことになる」として、2019年7月1日より「相続が発生した後に、被相続人の介護を行った相続人以外の人(特別寄与者)においては、他の相続人に対して金銭(特別寄与料)の請求が認められる」ことになりました。

「配偶者居住権」の新設

例えば夫が亡くなり、法定相続人が妻と子の2名だけだったとします。そして、相続財産が「自宅2000万円、預貯金2000万円」とします。法定相続分通りの遺産分割であれば、現行の法律では妻と子が半々になります。
 
この場合、住む場所の確保を考えて妻は自宅、子どもは預貯金を相続となるでしょう。妻は自宅以外の資産については相続できなかったため、今後の生活に不安が残ります。
 
そこで、今回の改正で「妻(配偶者)がそれまで住んでいた住宅の居住権は一生涯確保でき、そのうえで他の財産も一定のボリュームで相続できる」ことになりました。
 
この「配偶者居住権」における相続財産の評価額の算定については、特別な計算式を利用します。
 
例えば上と同じ例であった場合、配偶者居住権の評価額が1000万円となるのであれば、残りの預貯金から1000万円を相続することが可能となります。
 
計算式を用いると、自宅の評価額を下げられるため、その分、現行の法律と比べると現金資産をより多く相続できることにつながるのです。この制度については、2020年4月1日より施行される予定となっています。
 
相続対策にはいろいろな選択肢があります。今回の法改正の内容をきちんと理解するとともに、事前に相続人や親族を交えて、円満な相続になるように取り決めをしておくことが、これからは大切になってくるでしょう。
 
【出典】
法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」
法務省「民法(相続法)改正 遺言書保管法の制定」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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