公開日:2019.10.30 相続

借金を残して親が亡くなった……。限定承認すれば、負の遺産は引き継がなくて済むってホント?

亡くなった被相続人に多額の借金があった場合に、その借金の返済を相続人が回避する方法として、真っ先に思いつくのが「相続放棄」です。
 
相続放棄とは、借金を返済しない代わりに財産も相続しない、つまり、被相続人の権利や義務を一切引き継がない方法です。そして、もう一つの方法が「限定承認」です。
 
高橋庸夫

執筆者:

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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高橋庸夫

執筆者:

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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相続放棄と限定承認の手続き

相続放棄または限定承認をする場合には、「相続があったことを知った日から3ヶ月以内」(熟慮期間という)に家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
 
検討する時間は、被相続人が亡くなってから、わずか3ヶ月という短い期間しかありませんので、どうしても判断できない場合には延長を申し立てることもできます。
 
そして、両者の違いは、相続放棄は相続人の各人が「単独」で申し立てすることができるのに対して、限定承認は「相続人全員」で申し立てする必要があるという点です。
 

限定承認を検討するポイント

限定承認とは「取得する財産の範囲内で借金を負担すること」です。
 
例えば、被相続人に5000万円の預金と8000万円の借金があった場合、限定承認すると借金である8000万円のうち、財産5000万円の範囲のみの借金を負担することになります。
 
被相続人に借金が全く無い場合や取得する財産のほうが圧倒的に多い場合には「単純承認」(被相続人の全ての権利、義務を相続する)することになるでしょう。この場合には家庭裁判所への申し立てなどの手続きは必要ありません。
 
例えば、被相続人が営んでいた事業を、相続人が承継するような場合には、事業のための不動産や設備などの資産が必要になります。しかし、それ以上に多額の借金がある場合などには、限定承認することで相続人が負う借金の範囲を承継する財産の範囲内に止めることができます。
 
つまり、どうしても必要となる財産を承継して、負担する借金をその財産の範囲内に限定することができるのです。同様に、今後の居住や生活を考慮して自宅だけはどうしても手放したくないなど、たとえ借金を負担してでも承継したい財産がある場合には限定承認することが検討されます。
 
また、取得する財産と借金の額について、どちらが多いのかがはっきりとわからない場合などにも限定承認が検討されます。
 

限定承認が受理されると

限定承認の申し立てが受理されると、遺産の清算手続きが進められることになります。通常、相続人が複数人いる場合には、家庭裁判所が選任した相続財産管理人がその手続きを進めることになります。
 
そして、必要に応じて財産の換金手続きなどを行い、借金を清算します。換金の際には、必要な財産を相続人が優先的に買い取ることができる「先買権」を行使することができます。
 
また、限定承認する場合の注意点として、被相続人から相続人に対して財産を売却したものとみなされるため、譲渡所得として所得税が課税されるケースがあることが挙げられます。
 
つまり、実際には売却していなくても含み益に対して課税されることがあります。この場合には、被相続人の死後4ヶ月以内に行う準確定申告によって申告、納税が必要となるため、この分の納税資金の確保についても考慮しておく必要があります。
 

まとめ

世の中には「事業をしていた父(社長)が家族にも知らせずに莫大な借金を抱えて突然亡くなってしまった」などの事例も少なからずあることでしょう。
 
相続といえば、財産の部分だけに注目が行ってしまうこともありますが、むしろ借金のほうが、ご遺族のその後の生活に大きく影響を及ぼすことになります。全てをオープンにはできないこともあると思いますが、生前から家族や親族の間で借金についても話し合っておくことが重要となるでしょう。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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