更新日: 2020.04.03 その他保険
学生アルバイトでも社会保険は必要なの? ~学生でも加入義務が発生する場合~
現在の日本では、パートや正社員など雇用形態を問わず、一定の要件を満たす労働者は各種社会保険へ加入しなければなりません。
社会保険への加入は義務であり、要件を満たす労働者であれば、必ず加入しなければなりません。
これは、事業主や労働者個人の意思によって決められるものではありません。
ところで、この社会保険への加入は、対象となる労働者が学生であっても同様の扱いとなるのでしょうか。
学生の本分は学業です。アルバイトなどによる労働は、その合間に行っているにすぎません。
もし、そのように考えるのであれば、学生は一般的な労働者と異なり、社会保険へ加入する必要がないとも考えられます。
ところが、学生のアルバイトであったとしても、社会保険へ加入しなければならないことがあるのです。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
雇用保険
雇用保険は、週の所定労働時間(雇用契約書や就業規則に記載されている始業時間から、就業時間までの時間から休憩時間を引いた時間)が20時間以上、継続して31日以上雇用されることが見込まれる場合に加入することとなります。
しかし、学生は基本的に雇用保険の対象外となります。
ところが、次のような要件に該当する場合には、学生であっても雇用保険の対象となります。
・卒業見込みであり、卒業後も引き続きその事業所で雇用されることが予定されている場合
・休学中の場合
・通信制、夜間、定時制の学校における学生である場合
・その他法令などにより定められる場合
労災保険
労災保険は、業務に起因する病気やけがに備え、全ての労働者に加入が義務付けられています。
これは、学生であっても例外ではありません。
費用は全額雇用主の側での負担となるため、労働者側での負担は一切ありません。
健康保険
健康保険は、常時使用される労働者であり、1日または1週間の労働時間および1カ月の所定労働時間(雇用契約書や就業規則に記載されている始業時間から、就業時間までの時間から休憩時間を引いた時間)が通常の労働者の4分の3以上である場合に加入対象となります。
これも、学生であっても例外とはなりません。費用については、雇用主と学生との間で折半となります。
厚生年金保険
厚生年金への加入要件は健康保険と同様と同様です。扶養認定との健康保険・厚生年金との関係性は?
年間で130万円を超えて稼いでしまうと、社会保険における扶養認定から外れてしまい、学生であっても自ら社会保険に加入しなければなりません。
しかし、これとアルバイト先での社会保険の加入は別の問題となります。
つまり、130万円を超えていなかったとしても、アルバイト先における労働時間が通常の労働者の4分の3を超えるなど、加入要件を満たしてしまった場合には、アルバイト先での社会保険へ加入することとなります。
130万円の壁ばかりに気を取られることなく、労働時間などにも気をつけるようにしてください。
学生は社会保険の加入要件に注意
学生であっても、所定の要件を満たすことにより、各種社会保険へ加入することとなります。
要件を満たした場合における社会保険への加入は義務であり、学生本人の意思に関係なく加入することとなります。
社会保険へ加入しない範囲内でのアルバイトを希望する場合には、あらかじめアルバイト先へその旨を伝え、その範囲内で働けるようにお願いしておきましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー