更新日: 2019.09.18 損害保険
頻発するトラブル!火災保険をめぐるトラブルとは
「保険を使って住宅をリフォームしませんか?」「〇年前の台風の被害はありませんか?屋根の上を調査しましょう」「○年前の地震の被災として、保険金を請求しましょう」…などという電話や訪問営業があると耳にします。
ご自身の火災保険の補償内容を知っていますか?年数経過とともに記憶は薄れていくものです。今一度、火災保険について考えてみましょう。
執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/
「住まい」を守るために
住宅を所有する場合、万一の備えとして火災保険に加入するものです。大切な住まいが火事で全焼してしまうと、損害は大きく、家も生活もたて直すのは容易ではありません。
損害保険の特徴として、損害額に対して保険金が支払われます。物件の評価額から補償額を算出するのは、相応の保険金額で再建築できるよう準備しておくためです。
代表的な火災保険「住宅総合保険」の補償は、火災の場合だけでないことをご存じですか?
種類や選択するプラン、特約付帯の有無により支払い対象や範囲が異なりますが、雪、台風、雹(ひょう)などの自然災害や水もれ、外部からの物体落下などによる被害、水災、破損・汚損などの損害も幅広くカバーできます。
被災した場合には、保険金請求しましょう。面倒くさい、少額だから恥ずかしい、ではなく、当然の権利です。
頻発するトラブル事例
加入の際には補償内容について必ず説明されているはずですが、多くの人が年数経過とともに忘れているのではないでしょうか。「火事になったら、保険金が出る」くらいの記憶の方が大半でしょう。
昨年は、都内でも雹(ひょう)による被害がありました。ご自宅に被害はありませんでしたか?火災保険で補償されるのに、それを知らずに請求しなかったり、自費で修理するのはもったいないですね。
そこに着目した、新しいビジネスが最近出てきていますが、トラブルに発展するケースが増えているようです。保険を使えるという情報提供は有り難いことです。ただし、虚偽申告や詐欺は許されません。
こんな例が報告されています。
「お宅の屋根、一部剥がれていますよ。昨年の台風の被害として保険会社に保険金請求しましょう。その保険金で屋根を修理しましょう。折角なので外壁や他の箇所も調査してみましょう。調査、見積もりは無料です」
「私たちは保険請求の経験がたくさんあります。保険会社への申請書の書き方、伝え方をアドバイスします」
「保険金を使って当社でリフォームしませんか」
「地震保険に加入しているなら、追加の補償対象となる場合があります」
「保険金の〇%をアドバイス料として請求します」
など、さまざまな勧誘や、請求を受けるケースが見られます。
保険会社から受け取った保険金をリフォーム業者に振り込んだのに工事が始まらない、連絡が取れなくなった、というのは明らかな詐欺行為です。迷わず損害保険会社、そんぽADRセンターに相談しましょう。
ここでお伝えしたいのは、詐欺的営業の場合に限らず、お客さまを想う気持ちから保険代理店社員、FPが業者の仲介役になるケースがあることです。保険金請求を行えば、「臨時収入が得られる」「お得」という見方もできますので、リフォーム会社もお客さまも営業活動をした人も喜ぶ話…にも見受けられます。しかし、本当にそうでしょうか。
そもそも保険って
火災や自動車事故などの損害に備える損害保険、病気や死亡に備えた生命保険は、どちらも少しずつ掛け金を集めて困っている人に分け与えようという、相互扶助の考えに基づいて成り立っています。
地震や台風、雹(ひょう)による被害で本当に困っている方はたくさんいます。保険があったからこそ、以前の生活を取り戻すことができたという方もいらっしゃいます。無事故だった場合、自分の家のために払った保険料は無駄になったと考えますか?それとも、それで社会貢献できたと考えますか?
今まで気づかなかった、目につかなかった、いつ被災したか不明、というような破損にもかかわらず、業者に言われるままに請求をすると、保険金支払い件数、金額、それに関わる社員の人件費が膨れ上がり、保険料の値上げにも繋がりかねません。
保険に関わる人間はとくに、目先のことだけでなく本来の意味を理解して、お客さまと向き合ってほしいと思います。
参照・出典
一般社団法人損害保険協会「住宅の修理に関するトラブル事例」
一般社団法人損害保険協会 そんぽADRセンターHP
執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士