保険の見直しで無駄を抑えたい!見直し時に初心者が陥りやすい勘違いや注意点とは
配信日: 2020.08.27
どのように見極めるか、具体例を交えつつ、注意点や初心者が陥りがちな勘違いについてお伝えします。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
医療保険は不要、貯蓄でカバーは適切?
私はファイナンシャルプランナーとして保険のご相談をいただくことがありますが、よくあるのが「そもそも医療保険は必要なのか」というご質問です。今まで健康で、一度も保険金請求をしたことがないから、保険料を払うのがもったいないというのが理由です。中には保険金を受け取った経験があるにも関わらず、無駄と考えている方もいます。
医療保険が無駄と考えるのは、高額療養費制度があるため貯蓄で対応できるというのが一番の理由です。しかし、高額療養費制度は自費診療や差額ベッド代、入院中の食事などは支給対象外です。
また、月をまたいで治療を受けた時は、医療費の合算はできません。そのため、支払った医療費合計では上限額を超えていても、1ヶ月あたりで計算すると上限額を超えていない場合は、支給対象外です。
もちろん、短期入院であれば貯蓄で対応できるかもしれません。しかし長期入院のケースも考えてほしいのです。入院は短期化しているとはいえ、長期入院の可能性がないわけではありません。さらに、長期入院となると、働けず収入減となる可能性もあります。
健康保険に加入している場合、病気やけがで4日以上会社を休んで給料がなければ、傷病手当金が支給されます。しかし、金額は給料より少なくなりますし、そこから生活費や医療費を支払っていかなければなりません。
私の知人に切迫早産で1ヶ月入院した女性がいました。4人部屋で、カーテンの向こう側には自分と同世代の女性が入院しているものの、コロナのため会話は禁止。そのため、聞こえるのは物音や咳払いのみ。ほとんど体を動かせない状態で、入院がいつまで続くか分からない。
このような状況にストレスを感じ、個室に変更しました。高額療養費を請求したものの自己負担は数十万円かかり、保険金でまかなったとのことです。
さらに、入院すると付き添いが必要です。付き添いの方も働いているなら、付き添いの方が収入減となる可能性もありますし、食事代や交通費などもかかります。このようなことが人生において、何度も起きることはまれでしょうが、何回起きるかは分かりません。
これらのお金を、貯蓄でカバーできるのであれば医療保険が不要かもしれませんが、貯蓄でカバーするのが厳しいなら、医療保険は考えておきたいところです。
貯蓄型保険は悪なの?
「自分で貯蓄をしたほうがいいので、貯蓄型保険は解約しようと思っています」そのようにおっしゃる相談者がいました。確かに、近頃の低金利で保険には貯蓄機能がなくなりました。
そのため、保険を貯蓄がわりに活用するのはお勧めできません。しかし、それは貯蓄型保険が悪いということではありません。万が一のケースを考えて、家族にお金を残すため貯蓄型保険に入ったのであれば、それは保険で貯蓄していることにはなりません。
必要な保険金額を手に入れるために、保険料を払っていることになります。この場合、保険を解約してしまうと万が一の時に保険金が手に入らなくなるのはもちろん、貯蓄が保険金と同程度になっていなければ、必要保障額を準備できていないことになります。
貯蓄で必要保障額を準備するには、時間がかかりすぎます。ご相談者は貯蓄型保険=無駄だと思っていたようですが、それは勘違いであることに気づきました。
保険見直しの際は、保険の目的を明確に
保険加入の目的は何かあった場合の備えです。保険に入る目的と保険の内容が一致しているのであれば、その保険は無駄ではありません。無駄な保険とは、保険加入の目的と内容が一致していない場合です。
保険の無駄をなくして見直したい方は、まず保険の目的は何か、具体的に考えることから始めてみませんか?
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ