【失業保険のキホン】基本手当がもらえる場合って?支給額は?何日分もらえるの?
配信日: 2020.08.23
特に影響が大きいのは非正規労働の雇用者です。企業は契約更新の見送りなどで、非正規から雇用調整を始めるからです。
失業したとき、次の就職が決まるまで頼りになるのが失業保険(基本手当)です。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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雇用保険に加入していますか?
次に該当する労働者は、事業所規模に関わりなく、原則としてすべて雇用保険の被保険者です。
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(2)31日以上の雇用見込みがあること
31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、この要件に該当することとなります。
例えば、「雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき」や「雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき」は31日以上の雇用の見込みがあるとされます。
上記の条件を満たす場合、雇用保険への加入義務があります。事業主が加入手続きをしていないと思われる場合には、ハローワークに対し、雇用保険の加入が必要であるか否かの確認を請求できます。
失業保険(基本手当)の受給手続きをした日から、原則として4週間に1回失業認定日に住居所を管轄するハローワークへ出向き、失業していることの認定を受けます。正当な理由のない自己都合による離職等は、3ヶ月間の給付制限があります。
特定受給資格者や特定理由離職者は、給付日数が長くなったり、受給資格決定日から7日間の待機期間が満了した後、給付制限を受けることなく直ちに失業保険(基本日額)を受給できるなど、正当な理由のない自己都合による離職と異なる扱いがなされています。離職理由はとても重要です。離職票に正しく離職理由が記載されているか、必ず確認しましょう。
実際の退職理由は会社都合であるにもかかわらず、離職票には自己都合退職と記載されている場合など、実際の退職理由と離職票の記載が異なる場合は、失業保険(基本手当)の受給の手続き時に、住居所を管轄するハローワークの担当者へ、その旨忘れずに伝えましょう。
なお特定受給資格者は、特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者をいいます。特定受給資格者以外の者であって、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者や、正当な理由のある自己都合により離職した者を特定理由離職者といいます。
失業保険をもらえる場合とは?
失業し、労働の意思および能力があるにも関わらず職業に就くことができない場合、離職の日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があるときに、失業保険(基本手当)が支給されます。
解雇など会社都合で離職する場合は、離職の日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間があれば足ります。なお被保険者期間は、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から 1 ヶ月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日数が 11 日以上ある月を 1ヶ月と計算します。
また、離職前2年間(倒産・解雇等の場合は1年間)の間に疾病、負傷、出産、育児などの理由により引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった場合は、これらの理由により賃金の支払いを受けることができなかった日数を加えた期間(加算後の期間が4年間を超えるときは4年間が最長)により、受給に必要な被保険者期間があるか判断されます。
失業保険はいくらもらえる?
失業保険(基本手当)の額は、離職日以前6ヶ月の賃金日額の50~80%(60~64歳は45~80%)となっており、賃金が低いほど高い率になっています。また、基本手当日額には、上限額・下限額が定められています。
ここでの給与とは、ボーナスを除き、残業代、通勤手当、住宅手当など各種手当を含んだ金額です。
例えば、離職時の年齢が30~44歳の場合、賃金日額が2500円以上5010円未満では基本手当日額は2000~4007円、賃金日額が5010円以上1万2330円未満では、基本手当日額は4008~6165円です(令和2年3月1日から)。
失業保険は何日分もらえる?
失業保険(基本手当)の支給を受けることができる日数(所定給付日数)は、受給資格に関わる離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間および離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。
例えば、35歳以上45歳未満の方(被保険者期間が10年以上20年未満)が自己都合で退職した場合の所定給付日数は120日ですが、雇止めなどの特定受給資格者・一部の特定理由離職者の場合など会社都合の場合は240日となります。
なお、「新型コロナウイルスの感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」が令和2年6月12日に施行されました。これにより、一定の要件の下、雇用保険基本手当の個別延長給付の特例が実施されることとなりました。延長される日数は60日(一部30日)です。
本特例は、令和2年6月12日以降に所定給付日数分の基本手当の支給が終了する方が対象ですのでご注意ください。
●所定給付日数(平成29年4月1日以降)
自己都合、定年、期間満了による退職(全年齢共通、65歳未満)
倒産、解雇等による離職者(特定受給資格者、一部の特定理由離職者)
出典:ハローワークインターネットサービス(令和2年7月時点)
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。