生命保険料の支払いが困難となったら、どうすればいい?
配信日: 2020.11.20
企業のみならず多くの家計にも、給与収入の減少や賞与が通常どおり支給されないなど、今後もじわじわと影響を及ぼすこととなるでしょう。
もし家計が厳しくなり、これまで契約してきた生命保険の保険料の支払いが困難となった場合、どうすればよいのでしょうか?このようなときに必要となる知識として、保険に備えられた制度などをしっかりと確認してみましょう。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
保険料支払いの猶予期間
保険料の払込方法には、月払い、半年払い、年払い、一時払いなどがあります。保険料を支払わなかった場合には、即刻契約が失効されるわけではなく、一定の猶予期間があります。ただし、猶予期間を過ぎても保険料が支払われない場合は、原則として保険契約が失効となります。
1.月払いの場合の猶予期間
保険料の毎月の払込期日は毎月○日などと定められています(この日付を契約応当日といいます)。この場合の猶予期間は、翌月の初日から末日までとなります。例えば、契約応当日が4月5日の場合、猶予期間は5月1日から5月31日までです。
2.半年払い、年払いの場合の猶予期間
猶予期間は、契約応当日の翌月初日から翌々月の契約応当日までとなります。例えば、年払いで契約応当日が1月5日の場合、猶予期間は2月1日から3月5日までです。
保険契約を継続させる方法
保険料の支払いが困難となった場合でも、保険契約を継続させる方法として以下の2つの制度があります。ただし、いずれも解約返戻金のある保険契約であることが条件です。
1.自動振替貸付制度
保険料の払い込みがなかった場合に、保険会社が解約返戻金を限度として自動的に保険料を立て替えてくれる制度です。
2.契約者貸付制度
保険料の支払いが困難な場合などで、解約返戻金のうち一定範囲内で保険会社から資金の貸し付けを受けられる制度です。
いずれもいざというときに、保険会社が解約返戻金の範囲内で一定の貸し付けをしてくれる制度です。あくまでも貸し付けですから、もちろん利息がかかります。
保険料の支払いが全くできなくなった場合
保険料の支払いが全くできなくなった場合にも、以後の保険契約を継続させるための制度があります。この場合には、以後の保険料の支払いは中止となります。
1.払済保険
保険料の支払いを中止して、その時点での解約返戻金を元に、一時払いで現状の保険契約と同じ種類の保険に変更する制度です。この場合には、保険期間は元々の契約と同じですが、当然ながら保険金額は少なくなります。また、これまで契約していた特約部分は消滅することとなります。
2.延長保険
同じく、保険料の支払いを中止して、その時点での解約返戻金を元に、現状の保険契約の保険金額を変えずに一時払いの定期保険に変更する制度です。この場合には、保険金額は元々の契約と同じですが、保険期間は短くなります。また、払済保険と同様に特約部分は消滅します。
まとめ
とかく家計のやりくりが厳しい状態が続くと、毎月の支出を切り詰めようという思考が強くなります。その際に節約の第一候補となるのが、保険料などの毎月の定額支出です。
もちろん必要以上の保険契約や、ライフプランの変化などに合わせて必要がなくなった保険契約については、随時見直すことは重要ですし、場合によっては解約することもあり得るでしょう。
保険は解約した時点でその効力が消滅します。長年支払ってきた保険料を一瞬で無駄にしないように、解約する前に保険会社などに相談してみることをお勧めいたします。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー