人生100年のビジョンマップ:心もお財布も幸せに生きよう!PART4 

金融庁総務企画局参事官・油布志行さんに伺う(4)印象に残るのは、NISAの導入とコーポレートガバナンスの改革

Interview Guest : 油布 志行(ゆふ もとゆき) 金融庁 総務企画局 参事官(総合政策・資産運用担当)

配信日: 2018.06.22 更新日: 2019.01.11

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金融庁総務企画局参事官・油布志行さんに伺う(4)印象に残るのは、NISAの導入とコーポレートガバナンスの改革
人生100年時代と言われるようになりましたが、果たして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているでしょうか?
 
この対談企画では、様々な分野の方にお話しをお聞きし人生100年時代のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。
 
今回は金融庁参事官、油布 志行(ゆふ・もとゆき)様にお話しを伺いました。

最終回の今回は、油布参事官のプライベートに迫ります。休日は〇〇の掃除です!?
 

Interview Guest

油布 志行(ゆふ もとゆき) 金融庁 総務企画局 参事官(総合政策・資産運用担当)

油布 志行(ゆふ もとゆき) 金融庁 総務企画局 参事官(総合政策・資産運用担当)

金融庁 総務企画局 参事官(総合政策・資産運用担当)
 
1989年大蔵省入省。2008年以降、金融庁にてNISA導入やコーポレートガバナンス・コード策定等を担当。2015年より現職。つみたてNISAの導入に携わる。52歳
 

山中伸枝

interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。

新美勝

Photo:新美勝(にいみ まさる)

フリーランス・フォトグラファー

 

 

ラッキーだったと思うのは、結果が見えやすい仕事を担当できたこと

山中:そろそろ油布さんのプライベートもお聞きしたいなと思いまして。まずはご経歴、教えてもらってもいいですか?
 
油布:僕は平成元年に大蔵省(現財務省)に就職したんですけれども、金融庁に来たのは、今回2回目。1回目の時は99年、まだ、金融機関の破たん処理だった時代です。その後海外勤務をして2回目に金融庁に戻ってきたのが2008年の7月。リーマンショックが2008年の9月ですから・・・。
 
山中:なんか大変な時期に当たっていらっしゃいますね。
 
油布:いえいえ(笑)。かれこれ10年金融庁ですね。1965年生まれなので残りの公務員人生もそんなに長くないですけど。
 
ただすごくラッキーだったと思うのは、結果が見えやすい仕事を担当できたことです。ひとつは、NISAの導入です。
 
NISAは、今年で開始5年目に入ったところですけど、口座開設をしてくださっている方が1000万人を超えて、そこに投資していただいた金額の累計も12.5兆円になりました。
 
これは、投資した金額なので、多分株価とか為替の状況などいろいろ考えると、時価では今もっとプラスになっているはずです。
 
山中:来年が、NISA口座の資産を持ち越せるロールオーバー初年度になりますから、期待ですね。税制が変わって、120万円の枠以上に運用で増えても、新たな5年間の非課税枠に元利まとめて持ち越しができるようになったから、NISAで投資される金額がもっと増えるんじゃないですか。
 
油布:それから、コーポレートガバナンスの改革も手がけました。丁度、担当課長だったので。これもやりがいがありました。
 
日本企業の発想も少しずつ変わってきてるんです。従来の横並び型の競争、現状維持的な経営ではなくて、少しずつリスクも取っていこう、例えば他社と同じような製品を出して良しとするんじゃなくて、もっと利幅を乗せられるような強みを持った商品開発をしてみようかというのが出て来てると思うんです。
 
そういった動きが出てくると、業績も伸びていって、株価も上がっていくし、運用している家計にも恩恵があるんですね。
 
日本企業っていうのは多分これまで、いわゆるボトムラインと言われる最終利益よりも、トップラインと呼ばれる売上の方に関心があったんじゃないかと思うんです。
 
なぜかというと、縮小していく経済の中で、従業員の雇用を維持するためには、利益よりも売上なんですよね。早い話、利益が上がらなくても、売上さえあれば、収支はとんとんでも従業員には仕事がある。

 
山中:自転車操業でも、お金が回っている間は経営ができるということですね。
 
油布:でも皆が皆それを続けていくと、いっそう経済が縮んでいくだけなので、そこの発想の転換が世の中から求められてると思うんです。
 
利益を上げるためであれば、場合によっては、競争力の無い商品、単に品ぞろえをそろえるために作ってるような製品は畳んでしまって、代わりにちょっと個性のある変わったものを作るとか、そういった行動の方が、おそらく企業も儲かるでしょうし、経済全体も、そういう企業が増えれば成長していくと思うんです。
 

金融改革がご家庭では滞ってらっしゃる!!?

山中:ちなみにそういうお話ってご家庭でもされるんですか。
 
油布:するわけないですよ。僕は、家に帰れば仕事の話もしなければ経済の話も一切しないです。
 
山中:奥様にも?
 
油布:しないしない。
 
山中:そうですか。金融改革がご家庭では滞ってらっしゃるんですね(笑)。
 
油布:家ではグッピーを飼ってるんですけど、ちょうど昨日、家内には「あなたは、娘の話題を除けばグッピーの話しかしないわね」と叱られました。
 
山中:餌を上げるのは油布さんなんですか。
 
油布:餌は家内ですけど、水槽掃除は僕が。水槽は小さいやつが4つほどあります。これは、好きで増やしたんじゃなくて、増えて4つになっちゃった。
 
これ以上増えないように、ようやくオスメスを隔離したんですけど、増えたものは天寿を全うしてもらわないと。あんなに増えるとは思わなかったんですよ。
 
山中:ご家族は何人なんですか?
 
油布:娘が小学校3年生です。
 
山中:じゃあ、お嬢ちゃんとお話するのが楽しみですね。まだ小学生だったらお父さんと一緒に出掛けたりしてくれますね。
 
油布:そうですね。しますけど、何の仕事をしてるか説明するのは非常に難しいですね。まだ分かってないと思いますね。
 
山中:失礼ですけど、ご年齢の割にちょっとお子さん小さいですよね。
 
油布:結婚も遅かったし、海外勤務で、ヨーロッパに赴任させてもらってたんで、家内と旅行したかったんですね。
 
山中:素敵ですね。でもお嬢さんが二十歳ぐらいのとき、油布さんはおいくつになるんですか。
 
油布:いや、あと12年ですよね。本当にどうしようかなと。
 
山中:そこを聞きたかったんですよ!人生100年時代の企画ですから、読者の方もそこを聞きたい(笑)
 
油布:本当ですね。困ったものです。まあそういうのもあって、私も資産形成は、NISAも使ってやってますね。金融庁に来る前は、やっぱり誰でもがやりそうな投資の失敗も一通りはしてるんです。
 
短期の収益を狙うような品物に、後乗りで乗っちゃって、買ったとたんに値下がりを始める、そういう痛い思いをしたことも。
 
山中:そうなんですね。油布さんの想い描かれてる人生100年とはどういう感じなんですか。
 
油布:最近有名な話で、サザエさんの磯野波平さんは54歳らしいですね。
 
山中:ショックですよね。同年代です。
 
油布:私ももうじき波平さんの年ですけど、社会の構造自体も変わっていくんだと思います。
 
年を重ねていくとピークのときのような収入はもちろん得られないでしょうけど、働ける限りはなるだけ働いて、自分で働く力が落ちてきたら、資産に働いてもらうってことも大事だと思います。
 
山中:多分お嬢さんが大人になる10年後はまた変わってるだろうし、変化を楽しむような人間じゃないと厳しいですよね。お嬢さんにはどんな女性になってほしいですか。
 
油布:まだまだそんな、想像もできない(笑)。
 
山中:今日はいろいろお話が伺えて良かったです。最後の質問が一番難しかったですか?
 
油布:いや、もうどうしようかなと思いました。
 
山中:でも素敵な表情もいただけて良かったです。今日は本当にありがとうございました!
 


 
interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)
株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
 
Photo:新美 勝(にいみ まさる)
フリーランス・フォトグラファー

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