更新日: 2020.09.17 その他暮らし

特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の違いって?市場規模はどれくらい?

執筆者 : 田久保誠

特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の違いって?市場規模はどれくらい?
コロナ禍での運動不足で、これまでと同じ食事ですと「摂取カロリー>消費カロリー」で体重増加や栄養のバランスが乱れて健康面も気になりますね。
 
そのような場合に、いわゆる健康食品と呼ばれる食品を購入される方もいらっしゃると思います。その中でも「保健機能食品」である、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」と表示がある食品について、実際どういう意味があるのか、それぞれのポイントをお伝えしたいと思います。
 
その意味を理解せずに、良さそうだということだけで購入すると家計に負担になる場合もありますし、実際に効果があるということであれば、医療費の削減に結び付くこともあり得ます。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

保健機能食品とは

店頭にはいわゆる「健康食品」と呼ばれる食品が数多く並べられています。その市場規模は2019年に約1兆4500億円と、国民1人当たり平均1万2000円となっており、国民に広く定着してきました。
 
その中でも、「サプリメント」「栄養補助食品」「栄養強化食品」「健康飲料」等の名称が付いているものもありますが、どれも法令上の定義はありません。食品には、食品の「機能」を表示することができません。
 
日本では国によって制度化されている食品は「保健機能食品」だけです。もともと「保健機能食品」は、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」の2つだけでした。しかし、2015年の食品表示法の施行により、食品の機能を表示できる食品として「機能性表示食品」が加わりました。
 

特定保健用食品(トクホ)とは

特定保健用食品(トクホ)とは、生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、消費者庁長官の許可を得て、特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品です。2019年の市場規模は6493億円で特に飲料系の商品が人気です。
 
表示例としては次のようなものがあります。
 
・コレステロールが高めの方に
・血圧が高めの方に
・血糖値が気になる方に
・食後の血中の中性脂肪を抑える

摂取の際には、商品のパッケージやメーカーのホームページ等で関与成分や作用機序について確認しましょう。
 

栄養機能食品とは

栄養機能食品とは、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。その栄養成分の選定は、栄養機能食品創設の目的から、食品に本来含有される成分で、人体で利用されるものを基本として選定されています。
 
栄養成分の機能の表示を行うには、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定めた下限・上限値の基準に適合していることが必要です。すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量を含む食品であれば、栄養成分の機能の表示等をすることが必要ですが、国への許可申請や届出の必要はありません。
 
対象食品は、消費者に販売される容器包装に入れられた一般用加工食品および一般用生鮮食品です。

機能性表示食品とは

機能性表示食品とは、機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢を増やすことにより、消費者が正しい情報を得て選択できることを目的として、2015年に法制化されたもので、特定保健用食品と同様に保健機能を表示することができる食品です。こちらは約2600億円の市場規模で、飲料系のみならず生鮮食品の商品化も進んでいます。
 
また、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官の許可を受けたものではなく、個別の審査も行われませんが、その保健機能の科学的根拠や安全性などの情報を事業者の責任で消費者庁へ届出を行い、その情報は消費者庁のホームページで確認できます。
 

健康増進や家計に占める医療費の削減効果も期待されます

特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品はいずれも医薬品ではありませんので病気の治療するものではありませんが、例えば高血圧の解消を目的として飲料系の商品を摂取した場合、健康増進や家計に占める医療費の削減でも一定の効果があるのは事実ですので、これらの表示がある食品を選ぶのも1つの手段でしょう。
 
しかし、摂取する場合には1日3食のバランスのよい食事、食生活の改善を基本とし、機能性や目安量、作用機序などを確認の上で補完的に摂取することが望ましいですね。
 
【参考】
厚生労働省医薬局食品保健部企画課「保健機能食品制度に関する質疑応答集について」
消費者庁「栄養機能食品とは」
東京都福祉保健局「食品衛生の窓」
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表


 

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