更新日: 2020.03.20 子育て
2020年4月から新しくなる給付型奨学金制度とは
家庭の経済的理由で学ぶ機会が失われることのないよう、学ぶ意欲のある学生を支援する新しい修学支援制度です。新制度の給付型奨学金についてお伝えします 。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
JASSOの給付型奨学金とは
JASSOの給付型奨学金は、大学・短期大学・高等専門学校(4年、5年)・専門学校に進学する人を対象とした返済不要の奨学金です。
2020年4月からは給付型奨学金の支援対象となれば、大学などの授業料や入学金も免除・減額されます。2019年には約1万9000人が給付奨学生として採用されました。
支援対象の学生
対象となる学生は、高校を卒業して2年以内に大学などに進学した人なので、浪人生でもその条件を満たせば対象です。
収入要件としては、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯です。世帯年収の目安と支援額は下記のとおりですが、世帯年収は家族構成によって異なります。
出典:文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
具体的には、学生本人と父母など生活維持者の所得割が非課税、あるいは、市町村民税の課税標準額が一定基準以下であることが要件です。JASSOのホームページで進学資金シミュレーターがありますから、支援対象となるか、支援額はいくらか、確認しておきましょう。
また、収入要件のほかに資産基準と学業の要件もあります。資産基準は、学生本人と生活維持者の資産合計が2000万円未満、生活維持者が1人の場合は1250万円未満であることです。なお、資産には不動産は含みません。
学力基準は設けられているものの、レポートの提出等で学業意欲等が確認できれば支援は行われます。しかし、支援後に学業意欲の低下など判断された場合は支援が打ち切られます。
支援の金額
支援される金額は、世帯収入、進学先の学校の種類、自宅通学か1人暮らしかなどによって異なります。たとえば、住民税非課税世帯の学生の場合で、昼間制・夜間制の学校に通う場合の月額は、以下のとおりです。
出典:文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
カッコの金額は、生活保護世帯で自宅から通学する人、児童養護施設などから通学する人の金額です。住民税非課税世帯に準ずる家庭は、この金額の3分の2、3分の1の金額です。
また、奨学金に加え、授業料と入学金も減免されます。たとえば、住民税非課税世帯の学生の場合は、以下の金額が減免されます(昼間制の場合)。
出典:文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
手続きについて
支援を申請する場合は、在学中の学校で書類をもらい、インターネットからJASSOに申し込みます。高校の場合、2020年6月以降に学校から書類が配布される予定です。すでに大学等に在学している場合は、別途お知らせするとJASSOのホームページで案内されています。
事前に情報収集を
すでに給付型奨学金を受けていたり、貸与型奨学金を借りていたりする場合でも、新制度の給付型奨学金を受けられる可能性があります。
また、大学や民間団体などの奨学金を受けていても支援対象です。ただし、大学や民間団体側で制限される可能性はあります。
すべての大学等が支援対象というわけではありません。進学したい大学等が給付型奨学金の対象校となっているか、確認しておきましょう。
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ