更新日: 2023.09.13 確定申告

確定申告とは? 誤解しやすい箇所をFPが説明

執筆者 : 浦上登

確定申告とは? 誤解しやすい箇所をFPが説明
確定申告のシーズンが近づいてきました。皆さん、2月16日から3月15日まで(令和元年分は2月17日から3月16日まで)が確定申告の時期だと覚えていらっしゃると思います。ここでは確定申告とは何かということ、また誤解しやすい箇所について説明したいと思います。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

確定申告とは何か?

個人の場合、確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの課税期間における所得を計算した申告書を税務署に提出し、納付すべき所得税額を確定する一連の作業を言います。そして確定申告をすべき期間は2月16日から3月15日までと定められています。
 
確定申告が必要なのは、主に個人事業主、フリーランス、不動産収入のある人で、会社員は一部の人を除き確定申告をする義務はありません。
 

確定申告が義務付けられている人

確定申告は、基本的に、いかなる形であれ「所得」があった人には義務付けられています。具体的な例は次の通りとなります。
 
1.事業所得があった人(自営業者・フリーランス等の個人事業主)
2.公的年金を受けている人(ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合には不要)
3.不動産所得や株式の譲渡所得があって、源泉徴収がされていなかった人
4.退職所得、山林所得、一時所得等があった人……等々

 
一般の給与所得者は年末調整で税額を確定させるので、原則として確定申告は不要です。しかし例外があり、次の人は確定申告が必要になります。
 
・給与の年間収入金額が2000万円を超える人
・源泉徴収の対象となる給与の支払いを1ヶ所から受けている人で、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える場合
・源泉徴収の対象となる給与の支払いを2ヶ所以上から受けている人で、年末調整がされていない収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える場合
・給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた場合

 
※以上は代表的な例となります。詳しくは国税庁HP「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」を参照ください
 
これらに該当する人は翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をし、納税することを義務付けられているのです。また、期日までに確定申告をして納税しないと延滞税や加算税の対象になります。
 

一般の給与所得者の場合は?

給与所得者は、給与から所得税が源泉徴収されています。その源泉徴収額を、その給与所得者が本来納めるべき所得税額に一致させる手続きを年末調整と言います。この作業は一般的にその年の11月から12月の間に行われ、この年末調整により一般の給与所得者は確定申告が不要です。
 
ただ、年末調整をした一般の給与所得者の方でも「確定申告」を行うケースもありますよね。
 
この多くは、医療費控除や雑損控除など年末調整ではできない還付申告です。もちろん生命保険料控除や配偶者控除など年末調整でできる控除を忘れた場合でも、還付申告をすることによって税金を還付してもらうことが可能です。
 

還付申告の期限は確定申告の期限とは異なる

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
 
例えば2015年の医療費控除、社会保険料控除、ふるさと納税などは、2020年12月31日までなら還付申告は可能です。ですから、翌年の3月15日までに「確定申告」ができなかったからと言って、領収証等を捨ててしまわないでください。翌年1月1日から5年間、還付申告は有効なのです。
 

まとめ

この記事では、皆さんが行っている確定申告はどのようなものか、また誤解をしやすい箇所を取り上げて説明をしました。翌年3月15日までと誤解されている方も多いのですが、「還付申告」は年末調整で忘れたもの、5年くらい昔のものでも可能なのです。今からでも、昔の領収書がないか探してみましょう。
 
[参考]
国税庁「確定申告が必要な方」
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
国税庁「No.9205 延滞税について」
国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
財務省「加算税の概要」
国税庁「No.2030 還付申告」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー