【2020年最新】確定申告のポイント!知っておきたい税制改正の影響とは
配信日: 2020.01.16
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
令和2年の確定申告で不要になる添付書類は?
2020(令和2)年、つまり令和になって初めての確定申告では、これまで提出義務のあった以下の書類が添付不要となりました。
・給与所得、退職所得および公的年金等の源泉徴収票
・オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書
・配当等とみなされる金額の支払通知書
・上場株式配当等の支払通知書
・特定口座年間取引報告書
・未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
・特定割引債の償還金の支払通知書
・相続財産に係る譲渡所得の課税の特例における相続税額等を記載した書類
(出典:国税庁ホームページ)
2018年(2017年分)の確定申告では、医療費控除の申請時の領収書の添付が不要になりましたが、少しずつ手続きが簡略化されていく流れのようです。
スマホで確定申告できる対象が拡大!
2019年(2018年分)の確定申告で、すでに「マイナンバーカード」と「マイナンバーカード対応スマホ」があれば、スマホから「e-Tax」での確定申告が可能になっていました。しかし、2カ所以上から給与をもらっている方や、雑所得として副収入分の申告をしたい場合は、スマホ専用画面での申告はできませんでした。
それが、2020年(2019年分)の確定申告では、2ヶ所以上から給料をもらっている方、公的年金や副収入などの雑所得がある方、一時所得がある方もスマホ専用画面から申告可能になります。
さらに、医療費控除や寄付金控除だけでなく、すべての所得控除に対応する予定です。スマホでの確定申告にチャレンジしたい方は、早めに準備しておくと申告期限間際に慌てなくてすむでしょう。
基礎控除の引き上げ、会社員は影響なし?
2018年税制改革で基礎控除が10万円引き上げられることが決まり、2020年以降、適用されることになっているのはご存じでしょうか。個人の所得税や住民税を計算する際に、収入から経費を差し引いた所得からさらに「所得控除」を差し引くことができます。
所得 = 収入 - 経費 - 所得控除
「基礎控除」とは、所得から一律で差し引くことができる「所得控除」の1つです。
所得控除には、基礎控除の他に、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除などがあります。差し引くことができる金額が増えるということは、課税対象となる所得が減り、「減税」ということになるのです。
その一方で、会社員が「経費」として収入から差し引くことができる「給与所得控除」は年収850万円以下の場合、10万円引き上げられます。つまり、控除が差し引きゼロとなり、実質的には変化がないことになります。
ただし、年収850万円を超えるサラリーマンは、給与所得控除引き下げの対象外ですので、結果的に「増税」になります。なお、年収850万円を超えていても、特別障害者に該当する人、特別障害者である配偶者または扶養親族がいる人、年齢23歳未満の扶養親族がいる人は、給与所得控除引き下げの対象です。
増税の対象となるサラリーマンは、税負担が増えることになりますので家計の引き締めなどの対策が必要です。消費税が10%に増税になったことに続き、厳しい状況が続きますが、早めの対策で家計への影響をなるべく少なくするようにしましょう。
執筆者:福島佳奈美
DCアドバイザー