更新日: 2020.02.03 確定申告
要注意! 会社員でも確定申告が必要になる6つのパターンとは?
しかし、サラリーマンや公務員でも確定申告が必要なことはありますし、申告したほうが税金面でのメリットが享受できる場合もあります。詳しく見てみましょう。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
そもそも「確定申告」とは?
確定申告とは、1年間に納めるべき税金を計算して申告することです。自営業やフリーランスの方は、売上や経費がいくらで利益がどのくらい出たかなどを計算して毎年行います。会社員の方は、基本的に会社が「年末調整」として税金の計算や申告を代行してくれているので、通常は自分で確定申告する必要はありません。
毎年2月中旬から3月中旬に行うのが原則ですが、もし確定申告をすることで納めすぎた税金が戻ってくる場合(還付金が発生する場合)なら、過去5年までさかのぼって申告できます。
「確定申告ってなんだか難しそう……」と思うかもしれませんが、給与所得者の方で特に複雑でないケースであれば、国税庁が公開しているホームページの「確定申告書等作成コーナー」のガイダンスに従って数字を入力していくだけです。
自動で計算が行われて書類ができあがりますので、それを印刷して添付資料と一緒に提出します。スマホやタブレットからのオンライン手続きだけで完了させる方法もあります。初めての確定申告を自力で進めた場合でも、1時間から2時間程度で全て済んだという方もいますよ。
会社員でも確定申告が必要になる6つのパターン
もし次の6つのどれかにあてはまる場合は、原則として確定申告が必要になります。
1.副業の利益が20万円を超える
ここでいう「副業」は、アルバイトや自分で商売をして稼いだ利益だけでなく、一般口座での株式の売却や保険金の受け取りで得た利益なども含まれます。正確には、次のとおりです。
●1ヶ所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
●2ヶ所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人(給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は除く)
2.年収(給与の年間収入金額)が2000万円を超える
3.同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている
4.住宅が災害により大きく損傷したため、災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている
5.給与の支払い時点で源泉徴収されていない(源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている)
6.退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる
確定申告しなくてもよいけど、しておいたほうがお得になる場合
確定申告の義務はないものの、しておいたほうがお得になるケースもあります。例えば各種「控除」を受けられる場合は、その旨を申告することで納めすぎた税金の還付が受けられたり、次の年の税金が安くなったりします。以下はその一例です。
・家族全員で10万円以上の医療費を支払った(医療費控除)
・ローンを組んでマイホームを購入した(住宅ローン控除)……リフォームや増築なども対象
・ふるさと納税をしたがワンストップ特例制度(確定申告が不要になる制度)を利用できなかった(寄附金控除)……ふるさと納税を6つ以上の自治体に行った、もしくはふるさと納税をした翌年1月10日までに申請書を提出できなかったなど
・株式投資をしていて配当をもらった(配当控除)もしくは売却して損を出した(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除)
・地震や台風などの災害や盗難などの被害に遭った(雑損控除)
・年末調整後に扶養する家族が増えた(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除)
ほかにも、年の途中で退職したあと再就職しておらず年末調整を受けていない場合なども、税金を納めすぎている可能性があります。先述の確定申告書類作成ツールを使えば、確定申告した場合にいくら還付金が発生するのかわかりますので一度確認してみるとよいでしょう。
確定申告をスルーしない! 早めに確認しておこう
確定申告が必要にもかかわらずしなかった場合は、あとから無申告加算税や延滞税などの支払いを求められることがあります。さらに、申告する必要があるのを知っていたのに故意に怠った場合は、犯罪行為として懲役刑や罰金刑に処されることもあります。
自分が対象になるかどうかなど「よくわからない」と思うことが出てきたら、税務署に問い合わせれば詳しく教えてもらえます。たとえ面倒でも、自分が該当しないかきちんと確認して、手続きが必要なら早めに準備して済ませてしまいましょう。
(出典) 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表