兄が私たち夫婦の敷地内に「3500万円」の注文住宅を建てたいとのこと…兄弟間で「相続トラブル」が起きたらどうする?考えられるトラブルとその対処法
本記事では、敷地内同居や建築を巡って兄弟間に起こりうる相続上のトラブルと、その対処法を整理して解説します。予防策を知っておくことが、将来の関係維持につながります。
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目次
敷地内に兄弟が家を建てることで生じる法的な複雑さ
親の土地や、自分たち夫婦が所有する敷地内に兄弟が住宅を建てたいと言い出した場合、その土地の所有権と利用権にズレが生じます。建物は兄の所有となる一方、土地は他者名義であるため、法的には「借地権」に近い関係が生じます。
この状況が続くと、以下のような問題が生まれやすくなります。
・土地を所有している側に固定資産税の支払い義務がある
・兄の家にリフォームや建て替えの必要が出た際、土地所有者の承諾が必要
・土地と建物の所有者が異なることで、相続時に分けにくい資産になる
とくに口約束で済ませていると、後から「そんな話は聞いていない」とトラブルになりやすいため、法的な整理を怠らないことが重要です。
相続時に起こりやすいトラブルの具体例
敷地内に兄弟が自費で家を建てた場合、建物は兄の財産、土地は共有または他の家族の名義であるケースが多くなります。このような「一体利用だけど別名義」の状態では、相続が発生したときに以下のような混乱を招く可能性があります。
・土地を含めた不動産の評価額が高く、分割協議が困難になる
・他の兄弟姉妹が「建物だけ使って土地をただ乗りしている」と感じ、不公平感が生まれる
・土地の所有権が移転されると、家を建てた兄が立ち退きを求められる可能性が出る
こうした状況は、遺産分割協議を長期化させ、家族関係にも深刻な影響を与えることになります。
トラブルを未然に防ぐために確認しておくべき3つのポイント
敷地内建築によるトラブルを防ぐためには、事前に以下の三点を明確にしておくことが有効です。
・土地の使用条件を明文化する
・建物の登記名義を整理する
・建物の登記名義を整理する
以下にて詳しく解説します。
土地の使用条件を明文化する
無償貸与なのか、賃貸契約を交わすのかを契約書として残すことで、後の争いを避けられます。
建物の登記名義を整理する
家を建てる兄の名義で登記する場合も、土地との関係を記録に残すことが必要です。
相続時の取り決めを協議する
親が存命中に「将来の土地の分け方」について家族会議を開き、意向を共有しておくと兄弟間の紛争を防ぎやすくなります。
これらの手続きは、信頼関係がある兄弟間であっても文書として残しておくことで、相続時に感情的な対立を避けるための備えになります。
土地と建物が別名義の場合に起きやすい課題
土地と建物が別名義であることにより、表のような法的・税務的なリスクが伴います。
表
| 状況 | 起こりやすい問題 |
|---|---|
| 建物は兄名義、土地は親名義 | 相続発生後、兄が住み続けられない可能性がある |
| 使用料を設定していない | 税務上の「贈与」とみなされる可能性 |
| 兄が建物に大金を投じた | 他の相続人が不公平と感じるリスク |
※筆者作成
こうした事態を避けるためには、事前に専門家へ相談し、使用権・贈与・賃貸関係を契約書で整備することが不可欠です。
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相続発生後に兄弟間で揉めた場合の対処法
仮に事前の取り決めが不十分で、相続開始後に兄弟間で対立が起きた場合には、次のような対応が考えられます。
家庭裁判所での遺産分割調停
当事者間の話し合いがまとまらない場合、調停を申し立てて第三者を介入させます。
不動産の共有持分の分割または換価
共有不動産は現物分割が難しいため、売却して代金を分ける方法が採られることもあります。
弁護士への早期相談
感情的な対立を法的視点で整理し、公平な分割案を提示するための専門家の関与が有効です。
ただし、この段階ではすでに関係がこじれていることも多く、金銭だけでなく精神的負担も大きくなりがちです。やはり、事前の準備が最良の対策であるといえます。
まとめ
家族のためと思って敷地を提供したつもりが、相続時に兄弟間の争いの火種になることがあります。とくに土地と建物の名義が異なる状態では、後々の財産分与が難航することが多く、感情的な対立にも発展しかねません。
兄弟が敷地内に家を建てる場合には、使用条件の明確化、建物の名義整理、将来の相続への備えなどを、あらかじめ整えておくことが重要です。書面で残し、家族全員が納得する形を作ることで、相続トラブルを防ぎ、家族の信頼関係を守ることにつながります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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