父から相続したマンションに家族4人で住んでいます。税理士から「相続税対策のための売却」を勧められていますが、本当に税金面で得になるのでしょうか?
相続税の話と、売却したときの税金の話は別であり、使える特例も状況によって変わるからです。特に、すでに家族で住んでいるマンションなら、売却によって住まいを失う負担も小さくありません。税金だけに目を向けず、何が本当に得なのかを整理することが大切です。
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目次
相続税と売却時の税金は別に考える必要がある
まず押さえたいのは、相続税と、マンションを売ったときにかかる税金は別物だということです。相続税は、相続した時点の財産額をもとに考える税金で、申告や納税の期限も決まっています。
つまり、相続がすでに発生し、申告まで終わっているなら、あとからマンションを売ったからといって、基本的にはその相続税そのものが自動的に安くなるわけではありません。この点を混同すると、「売れば相続税対策になる」と受け取りやすいので注意が必要です。
売却時は譲渡所得の特例が使えるかを確認する
一方、売却で関係してくるのは譲渡所得です。これは、売却代金から取得費や売却費用を差し引いて計算する考え方で、条件が合えば税負担を抑えられる制度があります。
たとえば、相続税を実際に払っていて、しかも一定の期間内に相続財産を売る場合には、相続税額の一部を取得費に加算できる特例があります。これが使えれば、売却益が小さくなり、結果として譲渡所得の税負担を抑えられる可能性があります。ただし、相続税を払っていない場合や期限を過ぎた場合には使えません。
3000万円特別控除は誰でも使えるわけではない
また、相続した家を売るときの3000万円特別控除には注意が必要です。亡くなった方が一人で住んでいた空き家を相続して売るケースでは、一定の要件を満たせば特例が使えることがあります。
しかし、今回のように家族4人でそのマンションに住んでいる状況では、この「被相続人の居住用財産、いわゆる空き家の特例」は前提が違うため、そのまま当てはまるとは限りません。ここを勘違いして売却すると、思ったほど税金が軽くならないこともあります。
税金だけでなく住み替えにかかる負担も考える
さらに、売却すれば税金の話だけでなく、次の住まいの確保や引っ越し費用も発生します。いま家族で安定して住めているなら、住み替えコストや生活環境の変化まで含めて考えなければ、本当の意味で得かどうかは判断できません。
税理士の助言は大切ですが、「どの税金が、どの制度で、どれだけ変わるのか」を数字で確認することが重要です。相続税対策なのか、譲渡所得対策なのかを分けて聞くだけでも、判断はかなりしやすくなります。
“税金対策”だけで決めず、暮らしと数字の両方で判断する
相続したマンションの売却は、税金面で有利になることもありますが、それは使える特例が適用される場合に限られます。反対に、特例の対象外なら、売ることで住まいまで失い、負担だけが増えることもあります。
だからこそ、“税金対策になるらしい”という曖昧な理由で決めるのではなく、今の暮らしの価値と税金の数字を並べて、納得できる形で判断することが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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