70歳の母が1500万円で家を売り、月15万円の「家賃生活」に苦悩しています。家を手放すなら気を付けるべきポイントとは?
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目次
家を売って現金化する判断がもたらす影響とは
高齢者が家を売却して現金を確保する選択は、資産の流動性を高めるメリットがあります。とくにリフォーム費や介護費用、施設入居資金に備える目的で選ばれることが多く、住まいに対する維持コストや税金からも解放されます。
しかし、その一方で新たに賃貸住宅に移ると、月々の家賃支払いが生活費に大きく影響します。たとえば、家賃が月15万円であれば、年間で180万円の支出。1500万円の売却資金は約8年ほどで尽きる計算になります。年金収入だけではまかないきれず、貯金の取り崩しが前提の生活になりがちです。
こうした状況を避けるためには、売却前に長期的な住居費のシミュレーションを行い、老後のキャッシュフローを把握しておく必要があります。
住み慣れた家を売っても、住み続ける方法がある
持ち家を売却しても、同じ場所に住み続ける方法として「リースバック」という仕組みがあります。これは、家を第三者に売却し、その買主と賃貸契約を結ぶことで、元の自宅にそのまま住み続けるというものです。
リースバックの主な特徴
・家を売却してまとまった資金を確保できる
・引っ越しせず生活環境を維持できる
・所有権は移転するため固定資産税や修繕負担から解放される
ただし、家賃は買主の意向により決まり、相場より高額になることもあり得ます。また、契約更新の拒否や家賃の引き上げリスクもあるため、長期の居住安定を希望する場合は、契約内容を慎重に確認する必要があります。
高齢者が賃貸住宅で暮らす際の障壁とは
高齢者が新たに賃貸住宅を借りる際には、さまざまな制約が存在します。とくに70歳以上になると、以下のような問題が生じやすくなります。
・入居審査が厳しい
・保証人の確保が必要
・バリアフリーでない物件が多い
入居審査が厳しい
高齢単身者は孤独死や滞納リスクを理由に、貸主が敬遠する傾向があります。
保証人の確保が必要
親族に保証人を頼めない場合、家賃保証会社との契約が必要になり、初期費用が増えます。
バリアフリーでない物件が多い
高齢者に適した間取りや設備が整っている物件は限られます。
そのため、高齢者が賃貸住宅へ移行するには「高齢者向け住宅」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」など、受け入れ体制が整っている選択肢を検討することが重要です。
月15万円の家賃生活で家計が逼迫する?
年金暮らしの高齢者にとって、月15万円の家賃は非常に重い負担です。仮に月の年金収入が20万円だとすると、家賃が収入の75%を占め、食費・医療費・通信費などの生活費を賄う余裕がほとんどなくなります。
年金収入だけで生活を維持するのは困難であり、貯金の取り崩しが常態化する可能性もあります。将来の介護費用や医療費も見越すと、資金計画に無理が生じてしまうでしょう。
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家を手放す前に考えておきたい選択肢
家を売ることだけが老後資金対策の選択肢ではありません。以下のような方法も選択肢として検討する価値があります。
リバースモーゲージの利用
家を担保に融資を受け、死後に家を売却して清算する仕組み。一定の収入確保が可能。
親族との共有名義化
子ども名義に一部移すことで、住み続けながら相続計画を進めることができる。
一部を賃貸に出す
空き部屋を賃貸することで、収入を得ながら自宅に住み続けられる。
いずれの方法もメリットとデメリットがあるため、状況に応じて慎重に選択することが重要です。
まとめ
家を1500万円で売却して得た資金が、月15万円の家賃によって短期間で消えていくケースは珍しくありません。家を手放した後に生活が苦しくなるのを防ぐためには、売却前に「住み続ける選択肢」や「家賃支払いの継続可能性」を十分に検討することが必要です。
とくに高齢者の住まいは、健康と生活の安定に直結するため、安心して暮らせる環境を整えることが最優先です。契約条件や将来の収支を見据えた上で、長く住み続けられる仕組みを選ぶようにしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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