固定資産税だけが重くなる!? 地方で「駐車場経営」が難しい理由を解説
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目次
地方で駐車場を始めると固定資産税が軽減されないケースがある
更地の状態で土地を保有していると、住宅用地のような軽減措置が適用されず、固定資産税が高額になります。これは都市部でも同じですが、地方ではその負担が特に重く感じられることがあります。なぜなら、都市部と違って駐車場としての収益がそれほど高くないため、支出の比重が大きくなるからです。
住宅が建っていれば「小規模住宅用地の軽減措置」により課税評価額が最大で6分の1になりますが、アスファルト舗装をして駐車場にすると、この軽減が適用されなくなる可能性が高まります。その結果、年間の固定資産税だけが数万円〜十数万円高くなることもあるのです。
つまり、地方での駐車場経営は、税金の負担に対して収益が見合わないケースが多く、慎重な判断が求められます。
地方では駐車場の月極料金が低く収益が限定的になる
地方都市や郊外エリアでは、駐車場の月額料金が非常に低く、都市部のような安定収益が見込めないことが多くあります。たとえば東京都内で月額2万円の駐車場が、地方では5000円前後ということも珍しくありません。
表1は都市部と地方の月極駐車場の料金イメージです。
表1
| 地域 | 月極料金(1台) | 年間収益(10台) |
|---|---|---|
| 東京都心 | 約2万円 | 約240万円 |
| 地方都市中心部 | 約8000円 | 約96万円 |
| 郊外エリア | 約5000円 | 約60万円 |
※筆者作成
このように、同じ規模であっても収益差は歴然です。固定資産税やメンテナンス費を差し引くと、利益がほとんど残らないケースすらあります。
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地方で駐車場経営がうまくいかない三つの理由
地方で駐車場経営が難しいとされる背景には、以下の三つの要因があります。
車社会であっても敷地内駐車場が標準になっている
多くの住宅やアパートに十分な駐車スペースが確保されており、わざわざ月極駐車場を借りる必要がないという実情があります。
土地が広く空き地が多いため競合が多い
地方では駐車場にできる土地が多く、競争が激しい割に需要が少ないという状況に陥りがちです。
住民の所得水準が都市部に比べて低い
少しでも費用を抑えようとする傾向が強く、駐車場にお金をかけたくないという意識が根強いです。
これらの要素が重なると、駐車場経営の稼働率が伸びず、空きが目立つようになります。
駐車場経営にかかる初期費用と維持費を理解しよう
駐車場経営は「初期費用が安い」と言われますが、舗装やライン引き、看板設置などの費用は想像以上にかかることもあります。表2に目安をまとめています。
表2
| 費用項目 | 目安金額(10台分) |
|---|---|
| アスファルト舗装 | 約100万〜150万円 |
| 区画ライン・車止め | 約10万〜30万円 |
| 看板・照明設置 | 約10万円前後 |
| 年間メンテナンス費 | 約5万〜10万円 |
※筆者作成
初期投資は比較的少ないとはいえ、数年以内に黒字化するためには、安定した稼働率が必要です。地方ではこの条件を満たすことが難しいため、投資回収に長期間かかることも覚悟しなければなりません。
駐車場よりも土地活用の選択肢を広げてみる
地方の土地を収益化するには、駐車場だけにこだわらず、他の方法も検討してみることが大切です。たとえば以下のような活用法があります。
・太陽光発電を設置して売電収入を得る
・トランクルームやコンテナ型倉庫として運営する
・小規模の平屋住宅を建てて賃貸にする
・空き地として貸地契約を結ぶ
駐車場は簡単に始められる分、収益性が限定的ですが、これらの方法は多少の初期投資が必要な反面、安定的な収益が得られる可能性もあります。土地の立地や周辺環境に応じて、柔軟に選択肢を広げることが、地方での土地活用を成功させる鍵になります。
まとめ
地方で駐車場経営を始めると、収益に対して固定資産税の負担が重く感じられるケースが少なくありません。都市部と同じように考え始めると、採算が合わないどころか、赤字になることもあります。
特に、需要が少ないエリアや、近隣に駐車スペースが充実している住宅が多い場合には、空きが目立ちやすく、収益が安定しづらいです。駐車場は手軽に始められる反面、成功のためには市場調査やコスト計算が欠かせません。
地方で土地活用を考えるなら、収益性・税金・需要を多角的に検討し、場合によっては他の活用法も視野に入れて判断することが重要です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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