「空き家の固定資産税が6倍になる」は本当ですか?回避するための特例や売却方法について教えてください
この記事では、空き家の固定資産税がなぜ6倍に跳ね上がるのか、その仕組みと回避策、また放置せずに活用・売却するための具体的な方法について詳しく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
空き家の固定資産税が6倍になるって本当?
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が軽減されます。しかし、倒壊の危険や衛生上の問題がある「特定空家」に指定されると、この特例が解除されるのです。詳細は表1にて内容を確認してください。
表1
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般住宅用地(200㎡以下) | 固定資産税が評価額の1/6に軽減 |
| 特定空家に指定された場合 | 軽減措置がなくなり、6倍の税額に戻る |
| 軽減対象の解除タイミング | 自治体が正式に「特定空家」と認定した時点 |
※筆者作成
このため、「空き家=すぐに6倍」ではありませんが、老朽化して放置された状態が続けば、自治体の判断で対象となるリスクは十分にあります。
「特定空家」とは? 指定される条件を知っておこう
特定空家に該当するかどうかは、市区町村の調査・判断によって決まります。以下のような状態に該当すると、特定空家と見なされる可能性が高くなります。
特定空家に指定される主な要件
・倒壊の危険がある(屋根が崩れている、壁が傾いているなど)
・衛生上の問題がある(ごみの放置、害虫の発生など)
・景観を著しく損なっている
・周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしている
市町村は現地調査や近隣住民の通報をもとに判断し、所有者に改善命令や勧告を出すことがあります。勧告を受けた時点で「住宅用地の特例」は失われ、結果的に税額が6倍に膨れ上がるのです。
固定資産税が6倍になる前に取れる主な対策
特定空家に指定されないためには、最低限の管理や対策が必要です。定期的な手入れや状態の把握をしておけば、突然の税負担増加を避けることができます。
1. 定期的な点検・清掃
雑草の除去、屋根や外壁のチェック、通風の確保などを定期的に行うことで、荒廃を防げます。遠方に住んでいる場合は、空き家管理サービスの利用も検討しましょう。
2. 最低限の修繕を施す
屋根の破損や雨漏り、倒壊リスクがある箇所は早めに補修することで、特定空家の認定を防げます。
3. 活用や賃貸への転用
定期借家やシェアハウス、週末カフェなどの形で活用できれば、「空き家」ではなく「利用中の不動産」として管理され、特例解除を回避できます。
不動産を高く売るなら
無料でプラン請求! 公式サイトを見る
空き家を売却する場合の選択肢と注意点
空き家を保有し続けることに不安がある場合、表2にあるように売却という選択肢も有効です。ただし、建物の老朽化や地域性によっては、売却に工夫が必要となります。
表2
| 売却手段 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 一般的な不動産売却 | 仲介業者を通じて売却 | 市街地や人気エリアに立地している |
| 買取業者への売却 | 即現金化でき、リフォーム不要 | 急ぎで手放したい、手入れが難しい |
| 空き家バンクの利用 | 自治体が運営、購入希望者とマッチング | 地方の空き家で、活用意欲のある買主を探したい場合 |
※筆者作成
また、解体して更地にする選択肢もありますが、この場合も「住宅用地の特例」が失われ、固定資産税が上がる可能性がある点には注意が必要です。
特例制度や控除の活用も検討しよう
売却や活用を検討する際には、制度上の特例や控除を活用することで、経済的な負担を軽減できます。
空き家の3,000万円特別控除(相続空き家)
相続で取得した空き家を一定の条件下で売却した場合、譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度があります。
主な適用条件
・相続発生後、一定期間内に売却すること
・被相続人が一人暮らしで、空き家だった住宅であること
・耐震改修または取り壊しを行っていること
・売却価格が1億円以下
この特例を使えば、譲渡益に対する税負担を大幅に抑えることができます。
まとめ
「空き家=固定資産税6倍」という状況は、自治体から「特定空家」に指定されてしまった場合に現実となります。こうした事態を避けるためには、定期的な管理・修繕、活用方法の検討、早めの売却など、能動的な対応が必要です。
また、相続空き家特例などの制度を上手に使えば、税金負担を抑えながら資産を整理することも可能です。大切なのは、「放置」しないことです。空き家は、管理してこそ価値を生み出します。適切な判断を下すことが、将来の大きな損失を防ぐカギとなります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
不動産を高く売るなら
無料でプラン請求! 公式サイトを見る