親から譲り受けた土地に建てた注文住宅、相続後にかかる「思わぬ税金」には何がある?
特に「土地の名義が親のまま」「贈与の手続きを経ていない」といったケースでは、相続税だけでなく、贈与税や譲渡所得税のリスクも浮上します。
本記事では、親から受け継いだ土地に建てた住宅をめぐる相続トラブルと、見落とされがちな税金の種類について解説します。
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目次
土地は親名義、建物は自分名義
注文住宅を建てる際、親名義の土地に子どもが自費で家を建てるケースは多く見られます。親としては「土地を自由に使っていい」と無償で貸しているつもりでも、法的には「使用貸借契約」に該当します。
このような状態では、以下のような状況が起こり得ます。
・親が亡くなった時点で土地の相続が発生し、兄弟との共有財産となる
・建物は子の資産だが、土地の使用については他の相続人と調整が必要
・相続後に土地の名義を移すことで、新たな課税が発生する可能性がある
家は自分で建てたにもかかわらず、「土地を相続し直さなければならない」という点で、多くの人が思わぬ負担に直面するのです。
相続時に発生する主な税金とは
親から土地を譲り受けた状況で相続が発生すると、表1にある通りの税金が関係してきます。
1. 相続税
相続税は、親が亡くなった際にその土地を相続することで発生します。土地の評価額は「路線価」や「倍率方式」によって計算されます。都市部や広い敷地ほど評価が高くなり、相続税の対象額も大きくなります。
2. 登録免許税
土地の名義を相続によって自分に移す際、登録免許税がかかります。通常、相続による移転登記では「固定資産税評価額の0.4%」が税額となります。
3. 固定資産税
土地の名義が変更された後は、その所有者に固定資産税が課税されます。年に1回、数万円〜十数万円の支払いが求められる場合もあります。
表1
| 税金の種類 | 発生タイミング | 税率・金額目安 |
|---|---|---|
| 相続税 | 親の死亡後 | 評価額に応じて10%〜55%の累進課税 |
| 登録免許税 | 相続登記時 | 固定資産税評価額の0.4% |
| 固定資産税 | 毎年1月1日時点で課税 | 年間数万円〜(地域・面積により変動) |
※筆者作成
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建築時に土地を無償で借りていた場合の贈与税リスク
親の土地を無償で使っていた場合、第三者から見ると「使用料を払っていない=利益を得ている」とみなされることがあります。これは「使用貸借契約」と呼ばれ、基本的には贈与税の対象にならないとされていますが、以下のような場合は課税対象になる恐れがあります。
課税リスクが高くなる条件
・建物を売却して利益を得た場合
・使用期間が非常に長く、土地の市場価値が高い場合
・他の相続人が不公平を訴えた場合に税務調査が入るケース
実際には税務署の判断によるところが大きいため、契約内容や登記の状態をあらかじめ整理しておくことが重要です。
将来的に発生する「譲渡所得税」にも注意が必要
相続後、土地と家を売却することになった場合、譲渡所得税も発生します。これは「購入価格(取得費)」と「売却価格」の差額にかかる税金であり、相続で引き継いだ土地の場合、取得費が不明確だと課税額が大きくなりがちです。
取得費加算の特例
相続税を支払った場合、一定の条件下でその税額を「取得費」に加算できる特例があります。これにより譲渡益を減らすことができ、節税につながります。
課税を最小限に抑えるためにできる5つの対策
将来的な課税リスクを減らすには、以下のような対策を講じておくことが効果的です。
1. 土地の名義変更を早めに行う
親が元気なうちに土地を生前贈与や売買という形で名義変更しておくと、相続時のトラブルを防ぎやすくなります。
2. 使用貸借契約を明文化しておく
親と土地使用に関する書面契約を結んでおくことで、第三者からの課税指摘や相続人との争いを回避できます。
3. 遺言書を作成してもらう
親が「土地は子どもに譲る」と明言する遺言書があれば、相続時の分割協議をスムーズに進めることが可能です。
4. 相続税の控除制度を活用する
「小規模宅地の特例」などを活用すれば、土地の評価額を最大80%まで減らすことが可能です。
5. 専門家に早めに相談する
税理士や不動産会社、司法書士などの専門家に定期的に相談することで、将来のリスクを軽減できます。
まとめ
親から譲り受けた土地に家を建てて住むことは、ごく一般的なことです。しかし、名義が親のまま、契約内容が曖昧なままでは、将来的に相続税・贈与税・譲渡所得税など、さまざまな税金リスクが生じる可能性があります。
とくに「使用貸借」の状態は、税務上の評価や他の相続人の理解に左右されるため、早期の対策が重要です。安心して住み続けるためにも、今のうちから名義整理や契約内容の確認、税金対策を進めておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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