二世帯住宅として建てた注文住宅、親との「同居解消」で売却…市場価格はどこまで落ちる?
その際、多くの人が直面するのが「売却したいが、二世帯住宅って本当に売れるのか?」という疑問です。実は、二世帯住宅は一般的な住宅に比べて市場が限られ、売却価格が下がる傾向もあります。
本記事では、二世帯住宅の売却時に下がりやすい理由や価格への影響、損をしないための売却戦略まで詳しく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
はじめての注文住宅なら
無料でアドバイザーに相談! 公式サイトを見る
目次
二世帯住宅はなぜ売却価格が下がりやすいのか?
二世帯住宅は「間取り」や「構造」が特殊なため、一般的な中古住宅と比べて買い手が限られます。そのため、築年数にかかわらず、市場価格が下がる要因となりやすいのです。
価格下落の主な理由
・玄関・水回りが2つあるなど、汎用性が低い
・ファミリー層や若年層のニーズに合いにくい
・リフォーム費用がかかる可能性が高い
・築浅でも「構造が特殊」という理由で敬遠されやすい
こうした理由から、購入希望者は「二世帯住宅を探している層」に限定されるため、価格交渉で弱い立場になりがちです。
実際にどれくらい市場価格は下がるのか
築10年以内の一般的な一戸建ては、新築時の価格から20〜30%ほど下がるのが相場です。一方、二世帯住宅は表1にあるように「希望者が少ない」という特殊性のため、30〜40%以上価格が下がるケースも珍しくありません。
表1
| 住宅タイプ | 新築時価格 | 築10年後の平均売却価格 | 下落率 |
|---|---|---|---|
| 一般的な一戸建て | 4000万円 | 約2800万円 | 約30% |
| 二世帯住宅(注文) | 5000万円 | 約2800万円〜3200万円 | 約36〜44% |
※筆者作成
築年数が浅くても、「設備が過剰」「間取りの汎用性がない」と評価されてしまえば、想定以上の価格下落もあり得ます。
はじめての注文住宅なら
無料でアドバイザーに相談! 公式サイトを見る
売却価格に影響する間取りと設備の特徴
二世帯住宅の売却価格に影響を与える最大の要素は、「どれだけ一般住宅として転用できるか」です。とくに以下の条件に該当する場合、価格が大きく変動します。
価格が下がりにくい条件
・玄関や水回りが1つにまとめられている「共有型」
・一世帯用にリフォームしやすい構造
・建物の広さがゆとりある一般住宅と見なせる
・立地が良く、需要が高いエリア
価格が下がりやすい条件
・玄関・浴室・キッチンすべてが2つある「完全分離型」
・リフォーム費用が高額になる間取り
・独立性が強すぎて用途変更が難しい
・地方エリアなど需要が限られる場所にある
完全分離型の二世帯住宅は、賃貸やシェア住宅としての活用には向いていますが、個人で住むにはハードルが高くなるため売却が難しくなる傾向があります。
売却するか、それとも賃貸に出すか? 判断基準はここにある
「すぐには売りたくない」「価格が下がりすぎるのは困る」といった場合、二世帯住宅を賃貸に出す選択肢も検討できます。売却と賃貸のメリットとデメリットを表2にまとめました。
表2
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 売却 | 一括で現金化、維持費不要 | 想定より安くなる可能性がある |
| 賃貸 | 家賃収入を得られる、活用できる | 空室リスクや修繕負担がある |
※筆者作成
特に立地が良く、住宅需要があるエリアでは、「二世帯住宅を1階・2階で分けて貸す」などの工夫次第で一定の収益が期待できます。
損を最小限に抑える売却戦略とは
損をできるだけ減らすためには、二世帯住宅の「資産価値」と「再利用のしやすさ」を的確にアピールする必要があります。
1. リフォームによる再販価値の向上
一部の設備(キッチンや風呂)を撤去して、一世帯住宅風に変更することで、一般的な購入層の関心を得やすくなります。特に間取りが柔軟に変更できる構造であれば、少額のリフォームで価格が大幅に変わる可能性があります。
2. 不動産会社選びが重要
二世帯住宅の売却に慣れた不動産会社に依頼することで、適切な買い手層に的確なアプローチが可能になります。査定額の差が数百万円になることもあるため、複数社に見積もりを依頼しましょう。
3. 相続対策としての活用も視野に
高額な資産として残すよりも、売却によって現金化し、相続分割しやすい形にしておくことで、将来のトラブルを防ぐことにもつながります。
まとめ
二世帯住宅は、建築時は家族のための理想の住まいでも、同居解消などで手放す際には「流通性の低さ」が課題になります。特に完全分離型の注文住宅は、価格が大きく下がる傾向があるため、想定以上の損失が出ることもあります。
しかし、間取りの工夫やリフォーム、賃貸活用などの選択肢を組み合わせることで、損を抑えながら次のステップへ進むことも可能です。二世帯住宅の売却は、専門家の助言を活用しながら、冷静に判断することが求められます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
はじめての注文住宅なら
無料でアドバイザーに相談! 公式サイトを見る