二世帯住宅として建てた注文住宅、親との「同居解消」で売却…市場価格はどこまで落ちる?

配信日: 2025.08.28
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二世帯住宅として建てた注文住宅、親との「同居解消」で売却…市場価格はどこまで落ちる?
親との同居を目的に建てた二世帯住宅。しかし、生活リズムの違いや介護負担、家族間の摩擦などを理由に「同居解消」を選ぶ家庭も少なくありません。
 
その際、多くの人が直面するのが「売却したいが、二世帯住宅って本当に売れるのか?」という疑問です。実は、二世帯住宅は一般的な住宅に比べて市場が限られ、売却価格が下がる傾向もあります。
 
本記事では、二世帯住宅の売却時に下がりやすい理由や価格への影響、損をしないための売却戦略まで詳しく解説します。
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二世帯住宅はなぜ売却価格が下がりやすいのか?

二世帯住宅は「間取り」や「構造」が特殊なため、一般的な中古住宅と比べて買い手が限られます。そのため、築年数にかかわらず、市場価格が下がる要因となりやすいのです。
 

価格下落の主な理由

・玄関・水回りが2つあるなど、汎用性が低い
・ファミリー層や若年層のニーズに合いにくい
・リフォーム費用がかかる可能性が高い
・築浅でも「構造が特殊」という理由で敬遠されやすい

 
こうした理由から、購入希望者は「二世帯住宅を探している層」に限定されるため、価格交渉で弱い立場になりがちです。
 

実際にどれくらい市場価格は下がるのか

築10年以内の一般的な一戸建ては、新築時の価格から20〜30%ほど下がるのが相場です。一方、二世帯住宅は表1にあるように「希望者が少ない」という特殊性のため、30〜40%以上価格が下がるケースも珍しくありません。
 
表1

住宅タイプ 新築時価格 築10年後の平均売却価格 下落率
一般的な一戸建て 4000万円 約2800万円 約30%
二世帯住宅(注文) 5000万円 約2800万円〜3200万円 約36〜44%

※筆者作成
 
築年数が浅くても、「設備が過剰」「間取りの汎用性がない」と評価されてしまえば、想定以上の価格下落もあり得ます。
 

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売却価格に影響する間取りと設備の特徴

二世帯住宅の売却価格に影響を与える最大の要素は、「どれだけ一般住宅として転用できるか」です。とくに以下の条件に該当する場合、価格が大きく変動します。
 

価格が下がりにくい条件

・玄関や水回りが1つにまとめられている「共有型」
・一世帯用にリフォームしやすい構造
・建物の広さがゆとりある一般住宅と見なせる
・立地が良く、需要が高いエリア

 

価格が下がりやすい条件

・玄関・浴室・キッチンすべてが2つある「完全分離型」
・リフォーム費用が高額になる間取り
・独立性が強すぎて用途変更が難しい
・地方エリアなど需要が限られる場所にある

 
完全分離型の二世帯住宅は、賃貸やシェア住宅としての活用には向いていますが、個人で住むにはハードルが高くなるため売却が難しくなる傾向があります。
 

売却するか、それとも賃貸に出すか? 判断基準はここにある

「すぐには売りたくない」「価格が下がりすぎるのは困る」といった場合、二世帯住宅を賃貸に出す選択肢も検討できます。売却と賃貸のメリットとデメリットを表2にまとめました。
 
表2

選択肢 メリット デメリット
売却 一括で現金化、維持費不要 想定より安くなる可能性がある
賃貸 家賃収入を得られる、活用できる 空室リスクや修繕負担がある

※筆者作成
 
特に立地が良く、住宅需要があるエリアでは、「二世帯住宅を1階・2階で分けて貸す」などの工夫次第で一定の収益が期待できます。
 

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損を最小限に抑える売却戦略とは

損をできるだけ減らすためには、二世帯住宅の「資産価値」と「再利用のしやすさ」を的確にアピールする必要があります。
 

1. リフォームによる再販価値の向上

一部の設備(キッチンや風呂)を撤去して、一世帯住宅風に変更することで、一般的な購入層の関心を得やすくなります。特に間取りが柔軟に変更できる構造であれば、少額のリフォームで価格が大幅に変わる可能性があります。
 

2. 不動産会社選びが重要

二世帯住宅の売却に慣れた不動産会社に依頼することで、適切な買い手層に的確なアプローチが可能になります。査定額の差が数百万円になることもあるため、複数社に見積もりを依頼しましょう。
 

3. 相続対策としての活用も視野に

高額な資産として残すよりも、売却によって現金化し、相続分割しやすい形にしておくことで、将来のトラブルを防ぐことにもつながります。
 

まとめ

二世帯住宅は、建築時は家族のための理想の住まいでも、同居解消などで手放す際には「流通性の低さ」が課題になります。特に完全分離型の注文住宅は、価格が大きく下がる傾向があるため、想定以上の損失が出ることもあります。
 
しかし、間取りの工夫やリフォーム、賃貸活用などの選択肢を組み合わせることで、損を抑えながら次のステップへ進むことも可能です。二世帯住宅の売却は、専門家の助言を活用しながら、冷静に判断することが求められます。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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