35歳で4500万円の注文住宅を購入…「繰上げ返済」と「老後資金」の両立は可能?
住宅ローンの早期返済は利息軽減の効果がありますが、貯蓄を減らしすぎると、老後に十分な備えができなくなる可能性もあります。本記事では、繰上げ返済と老後資金形成を両立するための考え方や実践ポイントを詳しく解説します。
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目次
繰上げ返済のメリットと注意点を整理する
住宅ローンを早く返すことで、利息を大きく減らすことができる「繰上げ返済」。特に35歳でローンを組んだ場合、まだ年齢的に返済期間に余裕があるため、早期に実行すれば効果は大きくなります。
メリット
・利息の支払い総額を減らせる
・毎月の返済負担を軽くできる(期間短縮型または返済額軽減型)
・退職前にローンを完済できる安心感がある
注意点
・繰上げ返済に資金を回しすぎると、手元資金が不足する
・教育費・老後費用とのバランスを欠くと後々苦しくなる
・金利が低い場合、メリットが限定的なこともある
現在の住宅ローンの金利が1%未満であれば、「借金=悪」と考えるのではなく、利回りの良い資産形成に回す選択肢も見えてきます。
老後資金はいつまでに、いくら必要かを見積もる
繰上げ返済と並行して考えるべきは、老後資金の確保です。必要となる金額はライフスタイルによって異なりますが、平均的な試算を表1に示します。
表1
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 老後の生活費(65歳〜85歳) | 約3000万円(1年150万円×20年) |
| 医療・介護費 | 約500〜800万円 |
| 住宅リフォーム・住替え | 約300万円程度 |
| 合計 | 約3800〜4100万円以上 |
繰上げ返済に比重をかけすぎると、老後にこの金額が確保できないリスクがあるため、逆算してバランスを取りましょう。
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繰上げ返済と資産形成、どうバランスを取るか
両立のためには、目的ごとにお金を「分けて考える」ことが大切です。表2は、35歳の年収700万円世帯の家計例をもとにした資金配分の考え方です。
表2
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 住宅ローン返済 | 約9万円 |
| 教育費(子1人) | 約3万円 |
| 生活費 | 約18万円 |
| 積立投資(老後) | 約3〜5万円 |
| 繰上げ返済用貯蓄 | 約2〜4万円 |
| 緊急予備資金(別枠) | 年間30〜50万円 |
※筆者作成
このように、「毎月少額でも積立投資しながら、余裕がある月は繰上げ返済に回す」というスタイルが現実的です。どちらか一方に偏らず、長期的視点で進めることが成功の鍵となります。
繰上げ返済は「タイミング」と「金利」で考える
繰上げ返済の効果は、「いつ行うか」「どのローンに対して行うか」で大きく異なります。
効果が高い繰上げ返済のタイミング
・ローン返済開始から5〜10年以内
・金利が1%以上のローン
・教育費や転職など大きな支出が予定されていない時期
返済初期は利息が多く含まれるため、早期の繰り上げで効果が高くなります。一方で、金利が非常に低い場合は、無理して返すより資産運用に回した方が得られるリターンが大きくなることもあります。
iDeCo・NISAとどう組み合わせるか
資産形成の柱として、表3のような税制優遇のある制度を活用することで、老後資金の準備を効率化できます。
表3
| 制度 | 特徴 | 年間上限 |
|---|---|---|
| iDeCo | 掛金が全額所得控除、運用益も非課税 | 約27.6万円(会社員) |
| 新NISA | 運用益が非課税、いつでも引き出せる | 年間30万円 |
※筆者作成
繰上げ返済と並行して、これらの制度を少額でも始めておくことで、老後資金への備えを長期的に進めることが可能です。
まとめ
35歳で4500万円の住宅ローンを抱えると、返済へのプレッシャーが大きくなります。しかし、繰上げ返済のメリットを理解しつつ、手元資金や老後資金の確保とのバランスをとることで、無理のない家計運営が可能です。
「すぐに返し切ること」だけが正解ではありません。金利、ライフイベント、資産運用といった要素を柔軟に組み合わせながら、段階的に返済と資産形成の両立を目指しましょう。焦らず、計画的に進めることが将来の安心につながります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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