75歳で住宅ローン完済予定の注文住宅、退職金「1000万円」を使って繰り上げ返済をすると老後の生活はどう変わる?
本記事では、退職金をローン返済に回した場合、老後生活にどのような影響が出るのか、繰上げ返済の効果や注意点、慎重に判断すべきポイントについて解説します。
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目次
繰上げ返済の2つの方法と得られる効果
住宅ローンの繰上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。表1にある通り、どちらを選ぶかによって老後の家計に与える影響が異なります。
表1
| 返済方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 期間短縮型 | 毎月の返済額はそのまま、完済時期を早められる | 定年までに返済を終えたい人 |
| 返済額軽減型 | 完済時期は変わらず、毎月の支払い額が減少する | 退職後の収支 |
※筆者作成
たとえば、残り15年・金利1.2%・残債1500万円のローンに対して、退職金から1000万円を繰上げ返済すると、完済時期を約8年短縮または月額返済を約半分に抑えることが可能になります。
老後の生活費と住宅ローンの両立は現実的か
繰上げ返済を考える際は、「ローン返済+生活費+医療費+その他の支出」に無理がないかを試算する必要があります。表2に、老後生活に必要とされる平均的な費用をまとめました。
表2
| 支出項目 | 月額目安(夫婦2人) | 年間合計 |
|---|---|---|
| 生活費 | 約22万円 | 約264万円 |
| 医療・介護費 | 約2万円 | 約24万円 |
| 住宅ローン返済 | 約7万円(残債あり) | 約84万円 |
| 合計 | 約31万円 | 約372万円 |
※筆者作成
退職後に収入が年金のみとなると、月20万円程度の収入でこれらをまかなうのは困難です。ローンを減らすことで毎月の固定費を抑え、精神的な安心を得ることができるという点が、繰上げ返済の最大のメリットです。
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退職金での繰上げ返済に潜むリスクとは
1000万円という大金を一度にローン返済へ充てるのは大きな決断です。安心材料になる一方で、手元資金が一気に減るリスクもあります。
主なリスクと注意点
・予期せぬ医療・介護費用に対応できなくなる
・資産運用や貯蓄の余力がなくなる
・金利が低ければ繰り上げ効果が小さい可能性がある
・公的支援制度(高額療養費など)を活用しにくくなることも
退職金を全額使うのではなく、「半額を返済に」「半額は老後の生活防衛資金に」といった分割対応も視野に入れるべきです。
繰上げ返済をするべきかの判断基準とは
退職金を使って繰上げ返済をするか否かは、一律に「するべき」「しないほうがよい」とは言えません。以下のポイントを基準に、自分の状況に照らし合わせて判断しましょう。
代替案としての「部分返済」や「年金併用返済」
一括返済に不安がある場合は、柔軟な対応をとることも可能です。表3のような方法を検討してみましょう。
表3
| 対策法 | 内容 | メリット |
|---|---|---|
| 部分繰上げ返済 | 退職金の一部(例:500万円)を返済 | 手元資金を残せる |
| 年金併用返済 | 退職後は年金で返済継続 | 計画的返済が可能 |
| リバースモーゲージ | 自宅を担保に生活資金を借入、死亡時に清算 | 返済せず老後資金を確保できる |
| 住み替え | 小さい家や賃貸に引っ越しローンを清算 | 固定費を抑え老後の負担を軽減可能 |
※筆者作成
自分にとって最もリスクの少ない方法を選ぶためにも、金融機関やファイナンシャルプランナーとの相談は欠かせません。
まとめ
75歳まで住宅ローンが続く場合、退職金を活用した繰上げ返済は老後の安心につながる一手です。ただし、返済を優先するあまり生活資金が不足してしまっては本末転倒です。
ローン完済と生活の安定の両立を図るには、「繰上げ返済のメリット」と「老後の支出リスク」を天秤にかけて、総合的に判断することが大切です。無理のない範囲で返済を進めつつ、予期せぬ出費にも備えられる家計設計を目指しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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