兄が「相続した土地は売りたくない」と主張。私は現金化したい派…土地の評価額が低くても“手放さない”方がいいの?どちらの意見を優先すべき?

配信日: 2025.10.22
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兄が「相続した土地は売りたくない」と主張。私は現金化したい派…土地の評価額が低くても“手放さない”方がいいの?どちらの意見を優先すべき?
相続で得た土地について、兄は「売りたくない」と主張する一方、自分は「できれば早く現金化したい」など、意見の食い違いに直面することがあるようです。特に評価額があまり高くない土地であれば、「わざわざ残す意味があるのか」と疑問を抱くのも自然なことです。
 
本記事では、売却・保有それぞれのメリットやリスクを整理し、家族間で意見が異なるときにどう判断すべきかを解説します。
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兄は土地を手放したくない、私は現金化したい……意見が分かれたときの対処法とは?

家族で相続した土地に対して、「兄は売りたくない」「私は売って現金を手にしたい」と意見が分かれる場面は、決して珍しくありません。土地の評価額が低かったり、使い道が決まっていなかったりするときほど、「持ち続けるべきか、今売るべきか」の判断は難しくなります。
 
感情や家族関係が絡む問題だけに、冷静かつ客観的に判断しなければ、将来的にトラブルへと発展する可能性もあります。本記事では、意見が食い違った際の具体的な対処方法や、判断材料となる経済的・法律的な視点を解説していきます。
 

相続した土地、手放すべきか残すべきかの基準とは?

土地を相続したあとに「活用する予定がない」「評価額も高くない」「将来の地価も上がりそうにない」といった状況が重なると、保有する意義が問われるようになります。一方で、「先祖代々の土地だから」「子どもたちのために残したい」といった心理的・感情的な理由から、売却に抵抗を感じる方も少なくありません。
 
まずは、表1のような観点から、売却すべきか保有すべきかのメリットとデメリットを整理してみましょう。
 
表1

観点 売却する場合 売却しない(保有する)場合
現金化 可能(即時資金化) 不可(固定資産)
維持コスト 解消できる 固定資産税、管理費が継続
相続人間の公平性 実現しやすい(等価分配) 他の遺産との調整が必要
将来の価値 地価下落リスクから解放 上昇すれば利益もある可能性
感情的価値 失われる可能性あり 思い出や家族の絆が継続

※国土交通省「不動産ガイド」を基に筆者作成
 
この表からも分かるように、現金化したい側と保有したい側では、重視する価値基準が異なります。金銭面を優先すれば売却は合理的な選択ですが、感情面を優先すれば保有のほうが納得できる場合もあります。
 

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兄弟間で意見が対立する原因とその根本

兄弟姉妹で土地の扱いについて意見が分かれる背景には、それぞれの「生活環境」や「資産状況」、「土地に対する感情の強さ」の違いがあります。たとえば、実家の近くに住んでいる兄が「思い出の場所として残しておきたい」と考えるのに対し、遠方に住む妹は「管理が大変だから手放したい」と思う、といったようなケースです。
 
特に、土地の評価額が低い場合、「売っても大した金額にならない」「それなら残したい」と保有派が主張する一方、「将来さらに価値が下がる前に現金化すべき」と処分派が強く求める傾向があります。このような温度差が、大きな衝突につながってしまうのです。
 

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どちらの意見を優先すべきか? 判断基準は公平性と実現性

意見が食い違ったとき、必ずしも「どちらか一方の意見を優先すべき」ということはありません。重要なのは、相続人全員が「納得できる形で落としどころを見つける」ことです。そのためには、まずは相続財産全体を把握し、「公平な分配がなされているか」を確認することが出発点となります。
 
たとえば、兄が土地を保有したいのであれば、同等の金額を他の相続人に分配する「代償分割」という手法があります。逆に、現金化を希望する側が多数を占めるのであれば、「持ちたい人が単独取得し、他の人には代償金を支払う」という方法も成立します。
 
このような選択肢を柔軟に用いることで、どちらか一方の主張だけを通すのではなく、全員の意見を尊重しながら調整することが可能になります。
 

どうしても意見が合わない場合は第三者の力を借りる

相続人同士で話し合っても結論が出ない場合は、感情が絡んだまま話し合いが進んでしまい、関係性に亀裂が入ることさえあります。こうしたときは、専門家である「司法書士」「弁護士」「不動産鑑定士」などの第三者に相談することで、冷静かつ中立的な判断を得ることができます。
 
また、家庭裁判所での「遺産分割調停」を利用する方法もあります。これは、第三者の調停委員が介入し、当事者間の意見を調整して合意形成を図る手続きです。最終的には、裁判所が公平な判断を下してくれるため、感情的な対立を解消する糸口にもなります。
 
家族内の信頼関係を壊さないためにも、こうした制度を前向きに活用することが大切です。
 

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評価額が低い土地でも“手放さない”選択が正しいこともある

土地の評価額が低いからといって、必ずしも「売却が正解」とは限りません。たとえば、その土地が将来再開発地域に指定されたり、インフラ整備が進んだことで急激に価値が上がる可能性もゼロではありません。
 
また、土地を所有していることで相続税評価を抑える効果があるケースや、将来的に自宅や事業用として活用できる可能性がある場合には、無理に手放す必要はありません。売却して現金化しても、その資金が生活費で消えてしまえば、資産としての価値は残らないからです。
 
将来的な資産形成の一部として土地を保持する意義があるかどうかを、個別に判断する視点も必要になります。
 

まとめ

兄が土地を残したいと願い、あなたが現金化を望むという状況は、どちらも自然な考え方です。だからこそ、重要なのは「どちらの主張が正しいか」ではなく、「どうすればお互いが納得できるか」という視点に立つことです。
 
相続した土地の評価額が低いとしても、感情的価値や将来的な活用価値まで考えれば、単なる金額だけでは判断できない要素が多くあります。まずは相続人全体で情報を共有し、第三者のアドバイスも取り入れながら、冷静に対応することが解決への近道となるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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