両親の土地を「そのまま放置」して10年…固定資産税だけで“100万円”近く支払っています。いま売るのと貸すの、どちらが得?

配信日: 2025.10.23
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両親の土地を「そのまま放置」して10年…固定資産税だけで“100万円”近く支払っています。いま売るのと貸すの、どちらが得?
両親から相続した土地を特に使うこともなく、そのまま10年間放置。気づけば固定資産税として支払った金額は100万円近くにのぼり、「このまま持ち続けていていいのか」と疑問に感じている方も多いはずです。活用せずに維持費だけがかかる土地は、もはや資産ではなく負担に近い存在です。
 
この記事では、売却と賃貸の収支や管理コストを比較し、いま取るべき最善の選択を見極めるヒントを提供します。
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両親の土地を10年間放置……固定資産税だけで100万円。今、売るべき? それとも貸すべき?

両親から相続した土地を使う予定もなく、10年間そのままにしてきたという方は少なくありません。しかし、その間に支払った固定資産税が100万円近くに達していると気づいたとき、「このままでいいのだろうか」「いま売るべき? 貸すべき?」と疑問に思うのは当然のことです。
 
土地は持っているだけで固定資産税というコストが発生し、管理の手間や責任も伴います。放置していることで、経済的にも精神的にも負担となってしまう場合もあります。今回は、「売却」と「賃貸」それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、今のタイミングでどう活用すべきかを解説します。
 

10年間の放置で100万円……土地は“所有するだけでコストがかかる”資産

土地は所有しているだけで、毎年「固定資産税」が課税されます。この税金は土地の評価額に基づいて計算されるため、都市部や市街化区域に近い場所ほど高額になる傾向があります。たとえば、毎年の固定資産税が10万円であれば、10年間で単純に100万円の支出になります。
 
これは収益を生まないまま発生する“支出”であり、いわば「見えない赤字」です。何もせずに放置していたとしても、資産価値が増えていればまだいいですが、多くの郊外・地方の土地は年々価格が下落傾向にあり、いずれ“売るにも売れない土地”になる可能性すらあります。
 
土地を生かす選択肢として代表的なのが「売却」または「貸す」ことです。次の章で、それぞれの特徴と費用対効果を比較してみましょう。
 

売る vs 貸す……土地活用で得するのはどっち?

土地を活用するうえで大切なのは、「将来的な収益性」「手間のかかり方」「相場」などを総合的に判断することです。表1は、「売る」「貸す」それぞれの選択肢を取った場合の収支やリスクを比較したものです。
 
表1

活用方法 初期収入・収益 初期コスト 維持の手間 向いている人 リスク
売却する 一括現金化
(数百万円〜)
仲介手数料、譲渡所得税、登記費など 基本的に不要 すぐ現金化したい/後の管理が難しい人 地価下落時は値引き必須/買い手が見つかるまで時間がかかる
貸す 年間収入数万円〜数十万円 整地・舗装費、契約事務費など 借り手対応、草刈り、契約更新など 長期的に収益を得たい人 借り手が見つからない可能性/家賃滞納など

※国土交通省「土地総合情報ライブラリー」を基に筆者作成
 
「売る」場合は初期に大きな収入が得られ、以後のコストや手間がゼロになるのが最大の利点です。一方で、「貸す」場合は安定した収益が得られますが、借り手の有無や管理業務などが伴います。
 

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売却に向いているケースと注意点

土地を売ることには明確なメリットがあります。それは「まとまったお金をすぐに得られる」「以後の税金負担がゼロになる」「管理義務から解放される」ことです。特に高齢で管理が難しい方や、土地を使う予定がまったくない方にとっては、非常に合理的な選択です。
 
ただし、売却には注意点もあります。まず買い手がつかなければ売却は成立しませんし、査定額より大幅に下げて売る必要が出てくることもあります。また、譲渡所得が発生した場合は課税対象となるため、税理士や不動産会社とよく相談してから進めることが大切です。
 
売却に向いているのは以下のようなケースです。
 

・これ以上の維持費を払いたくない
・土地に思い入れがない/使用予定もない
・早急にまとまった資金が必要
・子ども世代が土地を引き継ぎたがっていない

 
このような条件に当てはまる場合、早期売却は「損切り」ではなく「資産整理」として前向きに検討すべきでしょう。
 

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貸すことで得られる利益と見過ごせないリスク

一方、土地を貸すことで毎年一定の賃料収入が得られることも事実です。駐車場や資材置き場、トランクルーム用地など、用途によっては収益性が高まる可能性もあります。特に、今後地価が上昇しそうなエリアでは、貸しながらタイミングを見て売却するという選択肢もあります。
 
ただし、土地を貸すためには「整地」や「フェンスの設置」「契約書作成」など、初期コストが発生します。借り手がすぐに見つからない場合は、その間も固定資産税はかかり続け、収支としてはマイナスが続くこともあります。
 
さらに、借地権が発生するような契約形態を誤って結ぶと、将来的に「売りたくても売れない」事態に陥るリスクがあるため、契約内容には十分注意する必要があります。
 

選択の鍵は“今後どうしたいか”と“どこまで関与できるか”

売るか貸すかの判断をする際は、単に「損か得か」だけでなく、「自分が今後その土地にどう関わっていくのか」を考えることが重要です。たとえば、近隣に住んでいて土地の管理が苦でない人であれば、貸して活用しながら地価上昇を待つという戦略もあります。
 
一方で、遠方に住んでいて現地の管理が難しい人や、相続人同士で活用方針が一致していない場合などは、売却してすっきりさせる方が精神的にも経済的にも安心できる選択肢となります。
 
また、「今売るよりも将来的に高く売れる可能性があるのでは?」と迷う方もいますが、将来の地価動向を正確に予測することは困難です。売却か賃貸かを決断する際には、第三者のアドバイスを取り入れることも有効です。たとえば、不動産一括査定サービスや、土地活用専門のコンサルティングを利用すると、客観的なデータに基づいた判断がしやすくなります。
 

まとめ

10年間も放置し、100万円近くの固定資産税を支払い続けた土地。活用せずにただ所有しているだけでは、今後さらに負担が増えるばかりです。「売る」「貸す」どちらの選択にもメリットとリスクがありますが、共通していえるのは「動かなければ損が広がる」ということです。
 
まずは現地の査定を依頼し、収益シミュレーションをしてみる。そして、家族とも共有しながら、最適な活用方法を検討していくことが、土地の価値を守る第一歩となります。決して放置せず、「選択する」ことで、これまで支払ってきた固定資産税を“意味あるコスト”に変えていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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