母が「家はあなたに」と言っていたのに、兄が“売却益を折半”と主張。相続の「口約束」って有効なの?

配信日: 2025.10.23
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母が「家はあなたに」と言っていたのに、兄が“売却益を折半”と主張。相続の「口約束」って有効なの?
母親が「この家はあなたにあげる」と言っていたのを根拠に、あなたは実家を取得する前提で話を進めたい。しかし、兄は「売ったら利益は半分に分けよう」と主張して譲らないなどの争いは、相続における典型的なトラブルです。
 
本記事では、生前の口約束や遺言の効力、折半主張との関係を法律的視点で整理し、「どちらの言い分が通る可能性が高いか」考える手がかりを解説します。
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「家はあなたに」と言われた約束、法的効力はあるの?

母親が生前、「この家はあなたにあげる」と言っていたという言葉は、あなたにとって非常に強い思い入れを持つ表現でしょう。しかし、法律上そのような“口約束”だけで相続分や不動産の所有を確定させることは、簡単には認められません。
 
まず、相続の基本ルールとして、被相続人(母など)が遺言を残さなかった場合は、民法で定められた法定相続分に従って遺産を分割することが原則です。
 
そのため、被相続人の発言が口頭であったとしても、他の相続人が異議を唱えたり、証拠が不十分な場合には、口約束だけでは主張が通らないことが多いです。相続法や判例上、「遺言」として効力を持つには、所定の方式(書面・署名・証人など)が必要であり、単なる口頭の約束では遺言としては認められないとされています。
 
ただし、口約束がすべて無効というわけではありません。生前贈与や死因贈与という形で意思表示がなされ、これを受け入れる合意や証拠が残っていれば、例外的に認められることがあります。とはいえ、その成立・効力を主張するためには、具体的な証拠(書面、録音、証人、通帳の動きなど)が不可欠になります。
 
要点を整理すると、母親の言葉だけでは法的効力は非常に弱く、主張を通すには裏付け証拠が必要となるのです。
 

兄が「売却益を折半」と主張する根拠と対抗手段

兄が「売却して利益を折半しよう」と主張する場合、これは遺産分割の公平性を主張していると理解できます。相続人間では、現金化した後の利益を分割するのが一般的な手法であり、特定の相続人だけに偏らせないという観点から折半が要求されることがあります。
 
しかし、この主張が通るかは、母の口約束だけでなく、被相続人の遺志・実行状況・他の相続人の同意・証拠の有無が大きく左右します。たとえば、被相続人自身が生前に売却代金を受け取った、あるいは遺産分割協議書に折半の旨が記載されているような確定書面がある場合、折半の主張が正当性を持つ可能性があります。
 
逆に、あなた側が「母の言葉を信じて動いた」「実際に維持・改善を行っていた」「他の相続人が無関与だった」などの事情を示せれば、折半主張を抑える材料になるかもしれません。遺産分割協議においては、すべての相続人が納得する形で合意することが理想ですが、対立した場合は家庭裁判所の調停・審判に移行するケースもあります。
 

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口約束・遺言・贈与の比較と注意点

不動産や家を特定の相続人に残したいと考える場合、法的に確実性を持たせるためには、遺言書・生前贈与・死因贈与などの制度を利用する方法があります。それぞれの特徴とリスクを理解しておくことが大切です。
 
表1

手段 法的効力 必要要件・注意点 リスク・限界
遺言書 非常に強い 自筆証書遺言、公正証書遺言など所定の形式に従う必要 他相続人の遺留分侵害問題
生前贈与 有効 贈与契約書・税務申告・贈与登記など裏付けが必要 贈与税、贈与前3年以内の贈与は相続財産に加算される
死因贈与 相続発生時効力発生 契約合意が必要、書面化が望ましい 証拠不備で無効とされるリスク
口約束 基本的には不確実 証拠(録音・証人・書面など)がないと主張できない 他相続人の異議に敗訴するリスクが高

※筆者作成
 
表1からも分かるように、遺言書や贈与といった制度は、書面化や適法な手続きを取らないと機能しにくく、口約束だけに頼るのは非常に危険です。
 

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具体的な対処ステップ

では、母の言葉に基づいてあなたが家を取得したいと主張する場合、実際にどのような対応を取ればよいでしょうか。以下はその手順です。
 
まずは、証拠を集めることが極めて重要です。手紙・録音・メール・LINEのやり取り・証人の陳述など、母親が言ったという記録をできる限り集めましょう。
 
次に、相続人全員で話し合って遺産分割協議を行い、それを協議書という書面に残します。協議書には、今回の取り決め(たとえば兄が売却益を折半する、あなたが実家を取得するなど)を明記し、全員署名押印することが重要です。
 
もし協議で合意できない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てる手段もあります。調停でも決着がつかない場合は、裁判所が遺産分割審判を行い、法定相続ルールと事情を考慮して割り振りを決定します。
 
また、将来に備える意味でも、遺言書の作成を母に促すこと、すでに母が遺言を書いていればその内容を確認することも重要です。
 

まとめ

母が「家はあなたに」と言っていたという言葉は、あなたにとって大きな思いですが、法律的には口約束だけでは不十分であり、兄の折半主張を止められない可能性も高いです。法的な効力を認めさせるには、証拠をそろえること、遺産分割協議を文書化すること、必要なら調停・審判を申し立てることが不可欠です。
 
遺言・贈与・協議書という制度を適切に使うことで、将来的な争いを防ぐこともできます。まずは冷静に証拠を集め、専門家(弁護士・司法書士など)と相談しながら、あなたの主張を背後から支える根拠を確立していきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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