「東京都・板橋区の家を子どもが継がない」とわかった50代夫婦。今のうちに“高く売る”のはアリ?それとも老後まで保有すべき?
本記事では、板橋区の不動産相場をふまえながら、売却と保有のメリット・デメリットを比較し、ご夫妻にとってベストな判断を導くヒントを提示します。
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「今売る」ことのメリットと注意点
板橋区という強い立地を背景に、売却する意義は複数あります。第一に、老後資金の確保です。将来的な収入が減る可能性を考えると、まとまった資金を手許に置いておくことは精神的にも安心感をもたらします。
第二に、固定資産税や維持費からの解放です。建物・土地を保有し続ける限り、毎年税金や修繕費、補修・改装コスト、保険・管理コストが発生します。これらを解消できるのは売却の大きな利点です。
ただし、売却を実行する際には注意点も多くあります。査定・仲介手数料、登記・譲渡所得税を含む税務コスト、解体費や建物老朽化対応などの費用負担が発生する可能性があります。
また、売却を急ぎすぎると買手を見つけづらくなることや、値引き交渉に応じなければならないリスクもあります。さらに、将来相場がさらに上がる可能性を捨ててしまうリスクも忘れてはなりません。
売却を選ぶ際に大切なのは、「その時点での最良価格を得られるか」「売却後の資金運用計画と税金計画を立てているか」という点です。これらをクリアできれば、売却は賢明な選択になります。
「保有し続ける」ことのメリットとリスク
では、老後まで実家を保有し続けるという選択の意義とリスクにも目を向けましょう。
まず、保有による最も大きなメリットは「将来の選択肢を残すこと」です。子どもが継がないと分かっていても、土地や建物を保持しておけば、将来リノベーションして賃貸に回す、分割して売却する、用途変更を行うなどの自由度を維持できます。また、不動産価格がさらに上昇すればキャピタルゲインも期待できます。
一方で、保有のデメリットはコスト負担とリスクです。固定資産税・都市計画税、建物修繕・維持コスト、老朽化対策、空室リスク、災害リスクなどが継続してかかります。特に長期間空き家状態が続くと劣化が進み、修繕コストが跳ね上がることもあります。また、「特定空家等」に認定されると税制優遇が外れる可能性もあるため注意が必要です。
保有戦略を採るのであれば、年間収支予測を立て、許容可能なコスト範囲を見極めながら、修繕積立や保険整備などを前もって準備しておくことが重要です。
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売却と保有、どちらが有利かを比較する指標と検討材料
売却すべきか保有すべきかを判断するには、いくつかの指標と検討材料があります。表1は、それらの指標を整理したものです。
表1
| 指標・要素 | 売却優勢方向 | 保有優勢方向 |
|---|---|---|
| 保有優勢方向 | 高価格・需要強い | 売却益が思うほど伸びない |
| 資金が必要か | 老後資金確保・借換資金など | 資金余裕あり・即現金不要 |
| 税金・維持コスト | 固定資産税・修繕コストを回避可能 | 継続して支払い続ける余力がある |
| 将来価格見通し | 相場下落が懸念される | 相場上昇を見込める立地条件 |
| 流動性・売りやすさ | 買い手がつきやすい立地 | 売却が難しい条件や制約がある |
| 家族の思い・感情 | 手放す抵抗感が低い | 思い入れ・土地への愛着が強い |
※筆者作成
この表をもとに、夫妻の現在の経済状況・資産運用方針・心理的な要素・地域の不動産環境を総合的に比較検討することが重要です。
判断に迷ったときのステップと実践アプローチ
売却か保有かで迷った際には、次のようなステップで判断を進めていくのが実践的です。
・複数の不動産会社に査定を依頼して売却見込み価格を把握
・保有時の年間維持コスト(税金・修繕・管理費など)を試算
・売却コスト(仲介手数料・税金・解体費用など)を見積もる
・売却資金をどう運用するか(再投資・ローン返済・生活資金化など)を計画
・将来的な価格動向・立地優位性を判断
・家族の意向や心理的抵抗を整理し、共有する
・必要であれば専門家(不動産鑑定士・税理士・弁護士)を交えて比較助言を受ける
・最終判断を決定し、売却なら媒介契約、保有なら管理体制を整える
時間をかけて検討することで、焦った判断による損失リスクを抑えつつ、納得できる結論に至る可能性が高まります。
まとめ
子どもが実家を継がないと分かったとき、50代夫婦としては「高く売るか」「保有しておくか」の選択に直面します。
板橋区という都市近郊立地であれば、売却にかなりの魅力がありますが、その判断は単に売り時という観点だけで決めるものではありません。資金ニーズ、税金・維持コスト、将来価格見通し、家族感情などを慎重に比較しながら、意思決定をするべきです。
また、売却を選ぶ場合には適切なタイミングと準備、保有を選ぶ場合には管理計画と修繕対応を先行して整備することが不可欠です。不動産は大きな資産であり、大切な人生の選択となるため、焦らず丁寧に判断する必要があります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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