同僚は“家賃10万円の賃貸”なのに、私は“注文住宅でローン月9万円”…東京エリア勤務ならどっちが賢い選択?
本記事では、東京勤務者の立場から、賃貸と注文住宅(持ち家)のメリット・デメリットを金額面と生活面から多角的に比較し、どちらが「賢い選択」かを徹底解説します。
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目次
月9万円のローンと家賃10万円、数字だけで比べるのは危険
一見すると、「住宅ローンが月9万円、賃貸の家賃が月10万円」なら、ローンの方が得だと思われがちです。しかし、住宅ローンには利子、固定資産税、メンテナンス費、火災保険などの「付随コスト」が含まれている点に注意が必要です。
仮に注文住宅の建築価格が3000万円で、金利0.5%・35年返済で借入をした場合、ローン返済は月約9万円です。しかしこれに加えて、年間約12万円の固定資産税、月換算で1万円以上の修繕・維持費が必要となります。一方、賃貸の10万円は、敷金・礼金以外に追加費用がかかりにくく、支出の見通しが立てやすいという特徴があります。
表1は、それぞれの年間コストを比較した表です。
表1
| 項目 | 注文住宅(持ち家) | 賃貸住宅 |
|---|---|---|
| 月額支出 | 約9万円 | 約10万円 |
| 固定資産税 | 約12万円(年額) | なし |
| 修繕・管理費 | 月1万円程度想定 | なし(大家負担) |
| 火災・地震保険料 | 約2万円(年額) | 加入義務なし |
| 更新料(2年ごと) | なし | 家賃1か月分 |
※参考資料を基に筆者作成
このように、住宅ローンの月額は賃貸より安くても、年間の実支出で比較すれば逆転するケースもあるのです。
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東京エリア勤務者が抱える通勤・生活の実情を考慮する
東京勤務の場合、最も重要になるのが「立地」です。特に通勤時間の長さは、日々のストレスや生活の質に直結します。賃貸の場合、駅近や都心寄りの物件を選びやすく、ドアtoドアで30分以内の通勤も可能です。
一方で、注文住宅となると、都心で土地を購入して家を建てることは難しいため、どうしても郊外になりがちです。
埼玉・千葉・神奈川などの郊外エリアから片道1時間以上かけて通勤する人も珍しくありません。朝の満員電車や帰宅後の疲労など、日々の負担を考慮すれば、多少家賃が高くても都心に近い賃貸の方が「生活の快適さ」という点では上回ることがあります。
また、東京エリアでは保育園や医療機関などの施設密度も高いため、小さな子どもがいる家庭では「住む場所の利便性」も大きな判断材料となります。
資産として考える「家」と「賃貸」の長期的な価値
持ち家は「資産になる」というメリットがある一方、築年数が経過するにつれて資産価値が下がる点も忘れてはなりません。特に東京郊外の住宅では、駅から遠い場合や人気エリアでない場合、売却が困難になることもあります。
たとえば、築30年の戸建ては建物価値がほぼゼロに近づき、土地の価値のみが残るケースが多いです。修繕コストを含めると「思ったより得ではなかった」と感じる人もいます。
賃貸は資産にならない代わりに、引越しや住み替えが容易で、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できます。転勤、子どもの進学、親の介護など将来の変化を見据えると、フットワークの軽さが強みとなる場合も多いです。
このように、住まいを「投資」として捉えるか、「生活基盤」として捉えるかによって、最適解は大きく変わるのです。
どちらが“賢い”かは「人生設計との一致度」で決まる
同僚と自分を比べて「私は賢いのか」と思う前に、まず考えるべきなのは「自分の人生設計に合っているか」です。月9万円のローンでマイホームを持てたことが、自分にとって満足感をもたらし、長期的な暮らしに適していれば、それは十分に“賢い選択”といえます。
一方で、同僚が家賃10万円を支払いながらも、通勤が短く、休日の時間も充実していて満足しているのであれば、それもまた正しい選択です。重要なのは、単純な月額費用だけでなく、「総コスト」「時間」「家族の成長」「価値観」といった要素をすべて踏まえたうえで、自分たちに合った選択をしているかどうかです。
まとめ
東京という都市は、交通・教育・医療・文化などあらゆる利便性が集中する一方で、住宅コストが高く、住まい選びが非常に難しいエリアでもあります。
月9万円のローン支払いで家を持つことは、経済的には魅力的に見えるかもしれません。しかし、通勤時間、立地の利便性、将来的な流動性などを加味したとき、家賃10万円の賃貸にも大きなメリットがあることが分かります。
結局のところ、「賢い選択」とは、他人と比較して見つけるものではなく、自分と家族の理想の暮らしを実現できる選択であるべきです。住宅購入も賃貸も、それぞれに「賢さ」がある。その違いを正しく理解し、自分たちの価値観に沿った選択をすることが、何より大切なのです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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