都内の実家を“2000万円”で売却したら、兄から「安すぎる」と言われた!不動産の査定額に納得いかない時に確認すべきこととは
この記事では、不動産査定の正確性や注意点、納得がいかない場合に見直すべきポイントについて、具体的に解説します。
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目次
不動産査定額は「一つの参考値」にすぎない
不動産の売却時にまず依頼するのが不動産会社の「査定」ですが、実はこの査定額は必ずしも市場で売れる金額ではないという点に注意が必要です。多くの人が、「査定額=適正価格」と思い込みがちですが、実際の市場価格には幅があり、業者ごとに査定額も異なることがあります。
査定には大きく分けて「簡易査定」と「訪問査定」があり、前者は周辺の成約事例や相場から算出される大まかな金額、後者は物件の現状や設備、リフォーム履歴なども考慮された精密な金額です。たとえば同じ物件でも、業者Aは1800万円、業者Bは2200万円と提示してくる可能性があるのです。
このように、1社の査定だけでは正確な相場感をつかむのは難しく、複数の査定を比較検討することが重要となります。
「2000万円は安すぎる」と感じたときに確認すべき要素
兄弟や親族から「もっと高く売れたはずだ」と言われたとき、感情的に反論するのではなく、まずは冷静にいくつかのポイントを確認してみましょう。
1つ目は土地や建物の現況です。築年数が古い、雨漏りやシロアリ被害があるといった問題があれば、それだけで大きく評価が下がります。また、私道や接道の問題、再建築不可物件など、買い手から敬遠される要因がある場合も、相場より安くなるのは当然です。
次に確認したいのが「取引事例」や「公示地価」などの公的な価格指標です。表1のように、同じ地域でも立地条件や土地の形状、面積によって価格に開きがあるのが実情です。
表1
| 物件の条件 | 坪単価(例) | 備考 |
|---|---|---|
| 駅徒歩5分・整形地 | 120万円/坪 | 日当たり良好・需要高 |
| 駅徒歩12分・旗竿地 | 85万円/坪 | 再建築可・需要はやや限定的 |
| 再建築不可・古家あり | 60万円/坪 | 土地としての評価が下がる |
※筆者作成
周辺相場と比較しつつ、売却した物件にどの程度のマイナス要素があったかを把握することで、売却額の妥当性を客観的に説明できます。
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不動産会社の査定に「偏り」が出る理由
なぜ同じ物件でも不動産会社によって提示価格が違うのか。それは、会社の方針や販売戦略、担当者の経験に大きく左右されるからです。
たとえば、「売却依頼が欲しいから高めに査定を出す会社」もあれば、「確実に売れる価格を見込んで慎重に提示する会社」もあります。後者は結果として、最初は低めに見えるかもしれませんが、実際にはよりリアルな金額になることもあります。
加えて、地域密着型の会社はエリア特性に詳しく、より正確な判断ができることが多い一方、大手チェーンは販売ルートや広告力に強みがあるなど、会社ごとに査定の基準や戦略が異なることが、価格差の原因となっています。
そのため、納得いく査定額を得るには「最低でも3社以上からの見積もりを取り、比較・分析すること」が不可欠です。
売却前に必ずチェックしたい「相続人間の合意」
今回のように兄弟間で「売却額が安すぎる」と揉めるのは、相続人間での合意が不十分なまま売却を進めた場合によく起こります。相続された不動産は、複数人が共有しているケースが多く、売却には原則として全員の同意が必要です。
合意が取れていないと、後から「聞いていない」「納得していない」といったトラブルに発展し、最悪の場合は売買契約の無効や損害賠償請求につながる恐れもあります。
このようなリスクを回避するためには、売却を開始する前に、全相続人に査定額や売却方針を共有し、文書化された同意書を作成することが望ましいです。後になって「そんなに安かったの?」と驚かれるのではなく、事前に情報を開示することで、スムーズに話を進めることができます。
まとめ
不動産の売却価格が想定より安くなってしまった場合、「もっと高く売れたはずだ」と感じることは自然なことです。しかし、査定額には複数の要素が絡んでおり、一社の意見や感覚だけで判断するのは非常に危険です。
価格に納得がいかない場合には、まず物件の条件や周辺相場、複数業者からの査定を冷静に比較し、相場感を正しく把握することが大切です。そして、相続人間でしっかりと情報を共有し合意を得た上で売却を進めることで、後悔のない取引を実現することができます。
不動産売却は「金額」だけでなく、「手続きの過程」こそが重要なポイントとなるのです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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