父の遺した土地を売って「現金3000万円」を母が一括管理。「あとで家族で分ける」は危険? 相続税と贈与税の境界線を整理

配信日: 2025.11.26
この記事は約 3 分で読めます。
父の遺した土地を売って「現金3000万円」を母が一括管理。「あとで家族で分ける」は危険? 相続税と贈与税の境界線を整理
父の遺した土地を売却し、代金3000万円を「落ち着いたら家族で分ける」と母が一括管理することに。この“とりあえず預かる”形は、相続税と贈与税の扱いが曖昧になり、後から税務上のトラブルを招くことがあります。母が管理している間に名義が変われば贈与とみなされる場合も。
 
本記事では、家族でお金をまとめて管理する際の注意点と、相続・贈与の境界線を整理します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

約2,300社の中から
1番条件の良い
不動産会社が見つかる!
不動産の
一括査定

してみる

土地を売却して得た「現金3000万円」は相続財産か?

まず前提として、亡くなった父名義の土地を売却した場合、その売却代金は相続財産の一部として扱われます。つまり、売却して現金化された後でも、そのお金は相続人全員で分ける対象であり、「母のもの」ではありません。
 
本来であれば、父の死亡時に土地の評価額で相続税の申告がされ、その後、土地を売却して得た現金も各相続人に応じて分配されるのが一般的な流れです。しかし、「ひとまず母が預かっておく」「後から分ける」といった対応をとった場合、その後の金銭の動きによっては“贈与”と判断される可能性が出てきます。
 

「あとで分ける」が危険になる理由とは?

今回のように、「母親がまとめて管理して、必要なときに子どもに渡せばいい」と考えるケースが多く見られます。しかし、この対応には以下のような税務上のリスクがあります。
 

・売却代金を母名義の口座に全額入れた
・そのまま数年が経過した
・母が子どもたちにお金を振り込んだ

 
このような流れになった場合、「母から子への贈与」と見なされ、贈与税の対象になる可能性が出てきます。つまり、もともとは相続財産であったにもかかわらず、実際の現金移動が“贈与”と解釈されてしまうのです。
 

不動産を高く売るなら

おすすめポイント

・HOME4U厳選企業に一括査定依頼が可能!
・最大6社一括査定ができるから高く売れる会社を見つけやすい!
・提携社数2500社!全国に対応!

無料でプラン請求! 公式サイトを見る


 

相続税と贈与税の違いを正しく理解しておく

相続税と贈与税は、どちらも「財産を無償で取得したとき」に課税される税金ですが、適用される場面や控除額が異なります。表1をご覧ください。
 
表1

税の種類 適用タイミング 基礎控除額 税率(最大)
相続税 被相続人の死亡時 3000万円+(600万円×法定相続人の数) 最大55%
贈与税 生前贈与があった場合 年間110万円(暦年) 最大55%

※筆者作成
 
相続税は複数人で財産を分ける前提で、基礎控除額が大きく設定されています。一方、贈与税は個人間の財産移転を対象とし、控除額が少ないため、誤って贈与と扱われると、予想以上の納税額になる可能性があります。
 

おすすめ関連記事

 

相続人間での「財産の明確な分割と記録」が大切

トラブルを避けるためには、相続財産の売却によって得た現金を、速やかに相続人間で分割し、各自の名義に入金することが最も安全です。その際、以下の点に留意しましょう。
 

・分割内容を文書で明確に残す(遺産分割協議書など)
・金融機関の入出金履歴を記録として保管
・税理士や司法書士に相談して手続き内容を確認

 
また、母が一時的に管理する場合でも、そのお金が「自分のものではない」と証明できるように記録やメモを残しておくことが重要です。
 

まとめ

父の遺した土地を売却し、現金3000万円を母が一括管理するという行為は、その後の金銭の動きによっては「贈与税」の課税対象になる可能性があります。「あとで分ける」という考えは、税務署には通用しないことが多く、トラブルや追徴課税の原因にもなりかねません。
 
大切なのは、相続財産は相続人全員の共有財産であるという原則を守り、現金化された後は速やかに各自に分配し、記録を残すことです。円滑な相続と節税のためには、形式よりも「実態」が重視されることを理解し、専門家の助言を受けながら手続きを進めましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

不動産を高く売るなら

おすすめポイント

・HOME4U厳選企業に一括査定依頼が可能!
・最大6社一括査定ができるから高く売れる会社を見つけやすい!
・提携社数2500社!全国に対応!

無料でプラン請求! 公式サイトを見る

  • line
  • hatebu