「子どもが小学校に上がるまでに注文住宅を建てたほうがいい」と周りから言われますが、頭金も十分とはいえません…いま無理をして建てるべき? それとも貯金を優先すべき?
今建てるべきと言われる理由は、たしかに納得できる
子どもが小学校に上がるタイミングで住まいを整えることで、環境を早く安定させたいという思いは、多くの親に共通する願いです。転校のリスクを避けられる、通学路や学校環境を事前に把握できる、地域とのつながりを早めに築ける──これらはすべて、子どもにとっても親にとっても安心材料となります。
また、住宅ローンの完済時期を早められるという点でも、若いうちの購入には一定のメリットがあります。定年を迎える頃にはローンを払い終えたいと考えるなら、30代でローンを組んでおくことには現実的な意味があると言えるでしょう。
しかし、どんなに時期としてはよさそうであっても、今の家計が無理をしてまで実行すべきかどうかは、まったく別の話です。住宅は人生最大の買い物のひとつであり、タイミングと準備の両方が整って初めて「建ててよかった」と言える選択になります。
頭金不足のまま建てることで起こりうるリスク
頭金が十分でないまま住宅を建てるということは、住宅ローンの借入額が増え、その分、毎月の返済負担も大きくなることを意味します。たとえ今の収入で支払える範囲だったとしても、予期しない出費やライフスタイルの変化によって、家計が苦しくなる可能性は否定できません。
さらに、頭金を少なく借入額を大きくすると、金利の面でも不利になったり、総返済額が大きくなることもあります。固定資産税や保険、維持管理費といった家を持つことで発生する支出がローン返済とは別にかかることも考えると、家を建てたことで家計が慢性的にカツカツになるリスクは十分にあります。
そして何より、貯金が少ない状態でマイホームを持つということは、「もしものときに備えられない家計」になってしまうということ。病気やケガ、収入の減少などに対する緊急対応力が下がることは、家族にとっても精神的なプレッシャーにつながります。
焦らない選択が、結果的に生活の安定と安心をもたらすことも
今無理をして住宅を建てるのではなく、数年かけて頭金をしっかり貯め、ローンの借入額を抑えてから建てるという選択も、決して遅すぎるわけではありません。むしろ、その間に教育費の見通しや家計の支出傾向が明確になり、「どれくらいの家が、自分たちに本当に必要か」を冷静に判断できるようになるという利点があります。
また、注文住宅の場合は土地探しから始まり、プラン設計や建築までに時間がかかります。その過程でも多くの追加費用が発生するため、「余裕を持って進められる資金力」があることは、結果的に満足度の高い家づくりにもつながります。
一時的な焦りから無理をして決めた家が、将来的に「もう少し待てばよかった」と感じる原因になってしまっては本末転倒です。たとえ引っ越しのタイミングが小学校入学後になったとしても、子どもにとって最も大事なのは家族が安心して暮らせる環境であることに変わりありません。
まとめ
「小学校に入る前が建て時」と言われると、どうしても気持ちが急いてしまうものです。でも、マイホームは人生の基盤になる場所。焦って建てることで、家計や心のゆとりを失ってしまっては意味がありません。
今、頭金に不安があるなら、家づくりは少しだけ先に延ばしても大丈夫です。貯金を重ね、家計を整え、じっくりプランを練って、納得のいく家を建てること。そのほうが、家族にとっても暮らしにとっても確かな安心を生み出してくれるはずです。
大切なのは、誰かの建て時ではなく、自分たちの暮らし時を見つけること。それが、長く心地よく住み続けられる家づくりのはじまりになります。