更新日: 2021.11.01 年収
住宅購入を検討しているなら知っておきたい、年収・ライフスタイル別の住宅ローン
ただ住宅は人生にとっては大きな買い物なので、普段の収支とローン支払いとのやりくりが不安で一歩踏み出せないと、思っている方に、年収別やライフスタイル別に考えてみました。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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年収500万円の世代ならば
住宅支援機構の調査報告書などを見ると、土地付き注文住宅融資利用者の全国平均の年齢は37.5歳、世帯年収は611万円、ローンは3665万円、総返済負担率は23.7%となっています。このモデルケースをもとに、年収500万円であれば、いったいどのくらいの住宅が購入可能で、どのくらいの返済となって、日常の生活費との関係はどうなっているのでしょうか。
毎月の返済額は、今ハウスメーカー各社や金融機関でシミュレーションソフトを公開しているので、そちらを活用すればすぐにイメージできます。それによれば年収500万円の場合、もしあらかじめ自己資金や親からの援助などで1000万円を使えるとすると、5000万円ぐらいまでの住宅購入は可能です。つまりローンは4000万円です。
金利1%で35年と仮定すると、住宅ローン返済額は月々12万5000円。これに対して年収500万円の手取り金額はおおむね380万円(税金や社会保険料を控除した後ですが、もちろんケースバイケースで異なります)。月額にならしてみると32万円が自由に使えるお金になります。かなりの部分がローン返済に使われることになりますが、これが可能かどうかについて一番大きく左右する要因は、子どもがいるか、いないか、です。
子育て中の制約条件は、共働きがどのくらいできるか、です。この年収500万円に少しでも上乗せすることができれば、かなり余裕度も生まれます。もし子育て中で共働きが無理ならば、「そういう時期は長くない」と割り切って子育てを楽しみましょう。
そして行政の窓口で、何か使える子育て支援制度がないかを探してみるといいでしょう。自治体によって、また年度によっても使える制度の範囲は変わりますので、必ず直接確認しましょう。
年収800万円の世帯ならば
同様にシミュレーションソフトで機械的にはじきだすと、購入可能額は8600万円まで上昇します。この場合も自己資金・親からの援助など1000万円があらかじめ手元にあると仮定しました。年収800万円の場合、税金・社会保険料などを控除した手取りは一般的に590万円。1月あたり49万円です。
ここでお気づきと思いますが、年収800万円台前後が税や社会保険料の負担感が重くなります。先ほどの年収500万円ならば、自由に使えるお金は77%ですが、800万円の場合は73%と下がることからも一目瞭然です。
これに対してローン返済に充当する金額は23万3333円(年収の35%)で、月々自由に使えるお金のかなりの部分がローンで使われてしまうのが気になりますが、それでも25万円程度が手元に残ることを考えれば許容範囲といえるでしょう。
ただ注意しなければならないのは、これだけの金額の住宅を購入すると、住宅が吸い取るお金も大きくなります。例えば光熱費、維持費など。数カ月はしっかり家計簿をつけるなどして、どのくらい住宅に支出が充てられているかを把握して家計を運営していきましょう。
また子どもの教育費がある場合、気になるところですが、最近は国や都道府県JASSO(教育支援機構)などからの奨学金や授業料免除が充実しているので、必ずチェックして活用できるものを探してみましょう。
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者