「不動産評価額」は市場価格だけで十分じゃないの? 決め方や種類が多い理由を解説!
配信日: 2022.06.29
本記事では、不動産の評価方法の種類と内容を紹介します。その上で、不動産の評価方法が複数存在する理由を解説します。
執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
不動産価格の評価方法の種類
不動産価格の主な評価は、次の通りです。
●相続税路線価
●固定資産税評価額
●公示価格
●基準地価
●市場価格(実勢相場)
これらの評価方法をそれぞれ解説します。
相続税路線価
相続税路線価とは、相続、遺贈または贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用する評価額です。
路線価は一般的に、公示価格に0.8を掛けた数字といわれます。
「国税庁」により1年に1度、評価が見直されます。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税や登録免許税などの税額を計算するときに、用いられる評価格です。
固定資産税評価額は一般的に、公示価格に0.7を掛けた数字といわれます。
「市町村」により3年に1度、評価が見直されます。
公示価格
公示価格とは、相続税路線価や固定資産税評価額の基準、国土利用計画法による土地の価格審査の規準となる評価額です。
公示価格は一般的に、市場価格(実勢相場)に0.9を掛けた数字といわれます。
「国土交通省」により1年に1度、評価が見直されます。
基準地価
基準地価とは、都道府県が各地点の不動産の価値を算出し、公示価格を補完する役割を持つ評価額です。
基準地価は一般的に、公示価格と同等の数字といわれます。
「都道府県」により年に1度、評価が見直されます。
市場価格(実勢相場)
不動産の時価のことで、不動産売買に用いられる評価額です。
日々の不動産取引により価格は変動します。
各評価額の内容が違う理由
各評価額は、目的も評価している機関も違います。それは、日々変動し、個別性が評価されてしまう市場価格(実勢相場)を、参考にできない性質のものがあるためです。
例えば、建物の固定資産税を計算するとき、建物設備の内容までは税額に含めません。税金というものには公平性を持たせなければいけませんが、設備の評価まで行うと個々の特殊性が生まれてしまいます。
このように、目的にそぐわない結果がでないよう、個々の目的に合わせた評価の方法が生まれてくるわけです。
まとめ
不動産は固定資産税、相続税、登録免許税などの税金を多く生むものです。そのため、さまざまな評価方法が存在し、各税金などに合わせた方法で評価額を算出しています。固定資産税の評価額で、不動産売買を行ってしまうと市場価格(実勢相場)と大きく違うことがあるため、大損してしまう可能性があります。算出された評価額には大きな評価の差があるため、目的に合った評価を利用しましょう。
出典
国税庁 財産評価基準書路線価図・評価倍率表
国税庁 令和3年分の路線価等について
神奈川県川崎市 固定資産の評価替えとは何ですか。
国土交通省 地価・不動産鑑定>地価公示
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター