空き家を放置すると「固定資産税」が「3倍」に? 相続で引き継いだ使ってない実家はどうすればいいでしょうか?
配信日: 2025.03.28

この記事では、空き家を放置することのリスクやデメリットをはじめ、空き家を有効活用する方法や空き家の売却方法について詳しく解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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空き家を放置すると固定資産税が増える理由とは?
固定資産税は、原則として土地の評価額に1.4%の税率をかけた金額が課税されます。ただし、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、表1のように課税標準額が軽減されます。
表1
土地の区分 | 課税標準の軽減措置 |
---|---|
小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分) | 固定資産税:6分の1 |
一般住宅用地(200平方メートルを超える部分) | 固定資産税:3分の1 |
出典:国土交通省「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」を基に筆者作成
この特例により、空き家でも住宅として認められていれば固定資産税の負担が抑えられます。
特定空家に指定されると固定資産税が3倍に?
「特定空家」に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなります。その結果、固定資産税が3倍以上だけでなく最大6倍にまで増えることがあるため注意してください。「特定空家」とは、以下のいずれかに該当する空き家を指します。
● 倒壊の恐れがある
● 衛生上の問題がある(害虫の発生、悪臭など)
● 景観を著しく損なう
● 管理不足により近隣住民に悪影響を及ぼす
自治体は放置された空き家に対して、「空家等対策特別措置法」に基づき、所有者に改善指導や勧告を行います。対応しない場合、行政代執行による強制撤去が実施されることもあります。
空き家を放置するデメリット
空き家を放置するデメリットは、固定資産税の負担増大だけではありません。どのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
防犯面や劣化のリスク
空き家を放置すると、不法侵入や犯罪の温床になる可能性があります。また、建物の劣化が進み、倒壊リスクが高まる点にも注意が必要です。台風や地震などの自然災害で建物が損壊してもすぐに対処できず、隣家や通行人へ被害が及ぶリスクが生じます。
近隣住民とのトラブル
空き家の管理が行き届いていなければ、雑草や害虫の発生、悪臭などが原因で近隣住民から苦情が寄せられることがあります。特に、空き家に不審者が出入りするようになると地域全体の治安悪化につながる可能性もあるため、早急な対処を求められるでしょう。
自治体による行政指導や強制撤去のリスク
「特定空家」に指定されると、自治体から改善指導を受けることになり、最終的には行政代執行により強制的に取り壊されるケースもあります。行政代執行による解体費用は所有者が負担しなければならず、大きな出費につながります。
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空き家を有効活用する方法
ここからは、空き家を資産として有効活用する方法を見ていきましょう。
賃貸物件として貸し出す
自治体が運営する「空き家バンク」に登録すると、借り手を見つけやすくなります。また、民泊として活用すれば、短期間の貸し出しも可能です。なお、民泊を運営するには旅館業法の許可が必要な場合があるため、事前に確認してください。
リフォームして再利用する
老朽化が進んだ空き家でも、リフォームすることで賃貸住宅やマイホームとして利用しやすくなります。自治体によって空き家活用の補助金制度を設けているところもあるので、利用できる制度がないか確認してみましょう。
空き家売却の方法
賃貸物件として運用したり、リフォームする予定がなかったりするのであれば、売却をおすすめします。主な売却方法は以下の通りです。
● 隣地の所有者に売却する
● 不動産会社に仲介して買い手をみつけてもらう
● 不動産会社に直接売却する(買取)
● 空き家バンクに登録する(売買)
建物は時間が経つほど劣化が進み、資産価値が下落します。売却を検討しているなら、早めに不動産会社へ相談してみてください。
売却にかかる税金や特例(譲渡所得税の軽減措置)
不動産を売却して利益があると、譲渡所得税が課せられます。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例を活用すれば、譲渡所得から最大で3000万円の控除が可能です。
特別控除の適用要件は次の通りです。
● 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
● 相続開始から3年以内に売却すること
● 売却価格が1億円以下であること
● 相続後に賃貸などで利用していないこと
特別控除が利用でき、譲渡所得金額が0円もしくはマイナスになれば、譲渡所得税はかかりません。
空き家は放置せず早めに売却を
相続で引き継いだ空き家を放置すると、固定資産税が増額されたり、特定空家に指定されたりするリスクが発生します。そのため、空き家は賃貸に出したり売却したりするなど、早めの対応が重要です。
売却時の税制優遇措置を活用すれば、税負担を抑えられるため、不要な空き家は早めに売却することをおすすめします。
出典
国土交通省 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例 P1
国土交通省 管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン) P2,P4
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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