【宅地建物取引士監修】不動産業者に支払う仲介手数料とは? 相場や上限金額について解説
配信日: 2024.05.16
この記事では、仲介手数料の意味や法定上限額、支払時期や計算方法について紹介し、仲介手数料の値引きとその影響について解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
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監修:池田 大樹(いけだ だいき) / 株式会社アーバンライク 不動産事業部Livment GM
大学卒業後、地元の銀行に就職し、金融商品の販売や住宅ローン、法人融資などの融資業務にも従事。その後、不動産の仕事に興味を持ち宅地建物取引士を取得。銀行時代の経験も活かしながら、現在は主に不動産売買業務に従事している。
・保有資格
宅地建物取引士、FP2級、賃貸不動産経営管理士
目次
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不動産取引(賃貸・売買)の仲介手数料とは?
仲介手数料は不動産仲介に対する対価で、仲介業務の完了にともない発生する成功報酬です。
仲介手数料の意味
不動産の賃貸や売買では、不動産会社に仲介(媒介)を依頼して希望に見合う物件を探してもらい、契約締結から引き渡しまでを不動産仲介会社にサポートしてもらうのが一般的です。そして、賃貸借契約や売買契約の締結まで導いてくれた不動産会社へ、「仲介業務に対する対価として支払うのが仲介手数料」です。
また、仲介業務とは契約締結後でも顧客の疑問に答えたり物件の引き渡しまでのサポートをしたりと、入居が完了するまでのサポートも含んでいます。
仲介手数料は成功報酬制
仲介手数料は「契約締結の成功報酬」です。つまり、貸主側や売主側の不動産会社は、契約が成立する前から募集広告掲載や内覧立ち会いなどの募集活動をしてくれますが、仲介手数料は契約の締結までいかないと請求できません。
また、借主や買主の物件探しから内覧のお世話までを行ってもらったものの、その不動産会社の仲介で賃貸や売買の契約をしなかった場合には、仲介手数料を支払う必要はありません。
したがって、募集活動の開始時や途中の段階で、仲介手数料の一部前払いや着手金などの名目で、仲介手数料を支払うことは基本的にありません。請求された場合には拒むことができます。
ちなみに、不動産仲介会社の収入源には仲介手数料以外にも取次手数料(火災保険、賃貸保証サービス、室内クリーニング、防虫消毒サービスなど)があります。しかし、不動産仲介会社にとって仲介手数料は、売上の大部分を占める大きな収入の柱です。
仲介手数料が要らない不動産取引とは
貸主から直接賃借もしくは売主から直接購入すれば、その契約締結までに不動産仲介会社が介在せず自力で契約するため、たとえ貸主や売主が不動産会社であっても仲介手数料を支払う必要はありません。また、不動産の買取で買主が不動産会社である場合も、仲介ではなく直接契約になるため仲介手数料はかかりません。
つまり、仲介手数料は相手方が不動産会社だから支払うのではなく、不動産会社が取引を仲介(媒介)して成約に至った場合に限り発生するのが原則です。
不動産仲介業には宅建免許が必要
不動産に詳しい方なら、不動産会社に頼らなくても適切な不動産をネットから探し出し、契約書を作成して締結することもできるでしょう。また、不動産仲介手数料は高額になることもあり、一般の方が自分でも不動産仲介手数料を稼げると考えるかも知れません。
しかし、不特定多数の方から利益を得る目的で、不動産取引を繰り返し行うには免許が必要です。この「宅地建物取引業」については、宅建業法で以下の定めがあります。
(1)宅地・建物の売買、交換
(2)宅地・建物の売買、交換又は貸借の代理
(3)宅地・建物の売買、交換又は貸借の媒介
そして、宅地建物取引業を営む事務所を一つの都道府県に設置するなら「都道府県知事免許」、二以上の都道府県に設置するなら「国土交通大臣免許」を受けなければなりません。
【 賃貸 】仲介手数料の法定上限額
宅地建物取引業法によれば、不動産賃貸仲介の仲介手数料上限は下記のとおりです。
・成約した家賃1ヶ月分と消費税
なお、仲介手数料上限額は借主と貸主の双方から受領する場合はその受領額の合計で判断します。つまり、借主と家主の両方から0.5ヶ月分ずつ受け取っても、借主から1ヶ月分もしくは家主から1ヶ月分を受け取っても構いません。
賃貸の仲介手数料上限金額は、家賃とともに毎月支払う「管理費や共益費など」は除き、家賃のみを算定基準としています。そのため、家賃が管理費込みの場合に、管理費を含む金額の1ヶ月分で計算したのが明らかな場合には、上限額の超過で業法違反になる可能性があるのです。
また、管理費なしの場合ですが、管理費は一般的に共用設備や環境の維持管理で使用される実費であり、誰かが賃貸建物の管理を行う以上は管理費がかかっているものと推定されます。管理費なしの賃貸条件が過去からずっと続いているならともかく一貫性がない場合には、仲介手数料を多額にするために管理費を含む家賃設定へと操作していると見なされる場合があり、業法違反になる可能性があります。
【 売買 】仲介手数料の法定上限額
宅地建物取引業法によれば、不動産売買仲介の仲介手数料上限は下記のとおりです。
速算式:成約した売買代金の3%+6万円と消費税
ここで、売買の仲介手数料の分類と速算式に関する詳細な経緯について解説します。以下の図表1は、税抜きの売買取引金額に対する法定の仲介手数料上限金額の割合です。
図表1
税抜きの売買取引金額 | 法定の仲介手数料上限金額(消費税課税前) |
---|---|
(1)400万円超 | 3%(税抜きの売買取引金額に対して、以下同様) |
(2)200万円超 ~ 400万円以下 | 4% |
(3)200万円以下 | 5% |
筆者作成
税抜き2000万円の不動産を売買したときの仲介手数料上限額は、(1)(2)(3)をそれぞれ計算すると、以下のような計算を経て66万円だと分かります。
(1)1600万円×3%=48万円
(2) 200万円×4%= 8万円
(3) 200万円×5%=10万円
(1)+(2)+(3)=48万円+8万円+10万円=66万円
この計算を図に表すと以下の図表2のようになります。
図表2
筆者作成
税抜き2000万円の不動産を売買したときの仲介手数料上限額は、前述のように(1)(2)(3)をそれぞれ計算してから合算しなくても、前述の速算式で計算できます。
仲介手数料上限額
=税抜きの売買取引金額×3%+6万円
=2000万円×3%+6万円
=60万円+6万円
=66万円
通常は、この計算後の金額に消費税を課税して請求されます。
仲介手数料の法定上限額に関する2つの例外
仲介手数料の法定上限額には下記の2つの例外があり、その場合には法定上限額を超えた支払が許容されます。
(1)特別に依頼した業務に係る費用
(2)低廉な空き家などの売買の特例
それぞれについて解説します。
<(1)特別に依頼した業務に係る費用>
仲介業務の一つである客付け募集活動では、物件情報をインターネットに掲載し、新聞折り込みチラシ、ミニコミ誌、ポスティングなどにより、物件情報を広範囲に拡散します。
このときのインターネット広告掲載費、チラシ作成代、ポスティング委託料、交通費などの経費は原則として仲介手数料に含まれています。しかし、通常業務を超える範囲や程度の経費をかける場合には、貸主や売主の事前承諾を得れば、例外的に別途費用を請求することができるのです。
ただし、貸主や売主の事前承諾なく不動産会社が勝手に行って、当然のように請求することは認められません。
<(2)低廉(ていれん)な空き家などの売買の特例>
「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」が、平成30年1月1日から施行されました。
これは「低廉(低価格)とされる400万円以下の不動産売買は、売主から受け取る仲介手数料に「特別な調査費用」の上乗せができ、原則の上限額を超えて18万円+消費税まで受領できる」という内容です。400万円以下なら仲介手数料が一律で18万円まで増額できるというわけではありません。
この法改正は、社会問題になっている空き家問題の改善を目的としています。古い空き家は低価格になるため仲介手数料が少なく、老朽建物の不具合や既存不適格(現行法令に違反している)などのリスクが大きいため、不動産会社が取り扱うのを嫌う傾向にありました。そこで、得られる手数料を増額して、低廉空き家の調査および取引に着手しやすくすることで、流通を促進させようとしています。
ただし、追加請求できる費用については、媒介契約の締結時点で不動産会社から説明を受け、双方で事前合意しておく必要があります。
仲介手数料の法定上限額を超えた場合
仲介手数料には宅地建物取引業法で上限額が決められており、上限額を超えて受領した場合はもちろん、受領しなくても請求しただけでも下記の罰則が課される場合があります。
・1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金のいずれか
・上記2つをともに科す
この違反は、故意に行ったかどうかは問題ではなく、手数料計算ミスや請求書記載ミスなどの過失(うっかり)による場合でも違反に変わりありません。
不動産取引(賃貸・売買)の仲介手数料の相場
賃貸および売買の取引で支払う仲介手数料の相場について解説します。
【 賃貸 】仲介手数料の相場
賃貸の仲介手数料は、不動産会社ごとに「0.5~1ヶ月」までとさまざまです。大手の不動産会社は0.5ヶ月と大きく広告していることが多くあります。
なお、貸主からの仲介手数料についても法定上限額を守っていますが、貸主から「特別な広告の依頼」を受けたときに請求できる「特別広告宣伝費」などの名目で別途経費を受領していることが少なくありません。
一契約で得られる手数料収入が多い物件になれば営業マンが優先して紹介してくれるため、別途費用がかかったとしても客付け促進を優先して、多額の経費をかけて優先的な募集活動を促す現状があります。
【 売買 】仲介手数料の相場
売買仲介の手数料相場については、大手不動産会社とそれ以外の中小不動産会社とで異なるというイメージで理解しておけばよいでしょう。以下の図表3は売買の場合と賃貸の場合の仲介手数料の相場感です。
図表3
売買取引の仲介手数料相場
大手不動産会社 | ・法定上限金額で請求するのが一般的 ・仲介手数料の値引き交渉は基本的には通らない |
中小不動産会社 | ・はじめから手数料0.5ヶ月や、物件により手数料無料の場合もある ・仲介手数料の値引き交渉に応じる場合がある ・仲介手数料の低価格化は仲介業務の質の低下を誘発する恐れがある |
筆者作成
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仲介手数料金額の計算方法:賃貸の場合
成約条件(家賃9万円、管理費1万円)の場合
仲介手数料が0.5ヶ月なら4万5000円、1ヶ月なら9万円
成約条件(家賃10万円管理費込み)の場合は、賃貸条件が管理費込みと表記されていれば、仲介手数料の計算は純粋な家賃に対して行うのが望ましいでしょう。このとき、内訳管理費が1万円として
仲介手数料が0.5ヶ月なら4万5000円、1ヶ月なら9万円
成約条件(家賃10万円管理費なし)の場合
仲介手数料が0.5ヶ月なら5万円、1ヶ月なら10万円
賃貸の場合は「管理費込み」や「管理費なし」など、管理費の取扱によって仲介手数料の上限額が異なる場合があります。これらが違反かどうかの判断は宅建業者免許の種類(都道府県知事免許もしくは国土交通省大臣免許)によって管轄が異なりますが、不明な点がある場合にはいずれかの宅建の係へ問い合わせるとよいでしょう。
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仲介手数料金額の計算方法:売買の場合
建て売り業者が売主の5000万円の一戸建てを、不動産会社の仲介で購入した場合
(ただし、一戸建ての内訳は、土地が3350万円、建物が税込1650万円とする)
土地価格3350万円+税抜き建物価格1500万円=4850万円
仲介手数料(法定上限額)
=(4850万円×3%+6万円)×110%
=166万6500円になります。
これを、建物が税込価格のままで同じ計算をすれば171万6000円になり法定上限額を超えてしまうため、消費税を含む建物の売買仲介手数料計算では注意が必要です。
仲介手数料を支払うのは誰?
仲介手数料は、仲介のお世話をした顧客から受領します。
賃貸でも売買でも、一つの取引に対して2社が共同で仲介するのか1社のみが仲介するのかによって、下記の区別があります。
・片手仲介:契約当事者の片方だけの仲介業務を行う:手数料は片方のみ
・両手仲介:契約当事者双方の仲介業務を同時に行う:手数料は両方から
片手仲介と両手仲介の関係は、以下の図表4のとおりです。
図表4
筆者作成
不動産仲介手数料を支払う時期
借主や買主がまだ物件探しの段階で、不動産会社から物件その他の有益情報を提供してもらい、現地の内覧に連れていってもらう行為に対しては仲介手数料は発生しません。
仲介手数料は、賃借や購入をする物件が定まって契約を締結する時点でを支払えばよいのです。
<賃貸契約の仲介手数料支払時期>
賃貸借契約の仲介手数料は、不動産会社から契約の重要事項説明が終わって賃貸借契約への署名捺印などの締結手続きが終わったときに、不動産会社へ現金一括で支払います。
<売買契約の仲介手数料支払時期>
売買契約の場合は、契約時に仲介手数料の半金、決済時に残りの半金を現金一括で支払うのが一般的です。なかには、売買契約締結時点で全額一括支払の場合や、決済時に全額一括支払の場合もあります。
売買は、契約の締結から残金決済(住宅ローンを実行して売買代金を全額支払う)や物件引き渡しまでに1ヶ月程度の時間がかかることがほとんどで、3000万円の物件なら仲介手数料金額が100万円ほどの高額になります。そのため、売買契約の成立時点で仲介手数料の半額を支払い、残金決済・引き渡し時に残りの半額を支払うのが一般的になっているのです。
また、支払い方法を「現金払い」のほかに「銀行振込」や「クレジットカード払い」まで許容している不動産会社もときどきあります。多額の現金を銀行で下ろして持ち運ぶのが不安な場合は、現金でない支払方法に対応してくれるかどうか尋ねてみましょう。
ただし、事前の承諾なく勝手に当日振込やクレジット払いを依頼しても、対応してもらえなければ契約手続きが中断してしまうため、必ず事前に確認して準備するようにしましょう。
なお、売買の売主の場合は、不動産会社と売却活動の内容に関するルールを規定した「媒介契約」を、売却活動の開始時点で締結します。その媒介契約のなかに仲介手数料の支払時期や支払方法についての規定があるため、売買の売主は媒介契約書のとおり行うことになります。
契約締結後のキャンセルで仲介手数料は戻ってくる?
契約締結前のキャンセルで契約締結まで至らなかった場合に、部分的な仲介手数料として請求されることは原則としてありません。物件の内覧や申し込み手続きおよび価格交渉などの業務は無料で行われる範囲の業務という認識であり、仲介業務を途中まで行っていたとしても、契約を締結しなければ仲介手数料は発生しないのです。
仲介手数料の返還についての争点は、契約締結で仲介手数料を支払った後の解除もしくは解約です。結論としては、下記の契約のキャンセル理由によって仲介手数料返還の扱いが異なります。
・当事者の債務不履行
・当事者の合意
・手付解除(売買のみ)
・ローン特約(売買のみ)
・買い替え特約(売買のみ)
それぞれについて解説します。ただし、これらの解釈は疑義が分かれる場合があり、以下の解釈に関わらず、無用な揉めごとを避けるために仲介手数料の返還要請に応じる不動産会社もあります。
仲介手数料の返還条件1:当事者の債務不履行
貸主・売主または借主・買主の債務不履行による契約解除の場合では、契約当事者が義務を果たさないことによる解除であり、仲介会社の責任はないとなれば支払い済みの仲介手数料は返還されません。なお、債務不履行とは故意・過失を問わず自分の債務や義務を履行しないことです。
故意の例は、借主・貸主が解約に必要な書類を準備しない、または貸主・売主が物件の引き渡しを拒む場合。
過失の例は、貸主・売主の火の不始末から建物が焼失して契約の目的を達成できなくなった場合。
仲介手数料の返還条件2:当事者の合意
借主・買主と貸主・売主が協議した末に合意が成立して契約を解除した場合は、一度契約が成立したあとに当事者の都合で契約が解除されています。この協議の原因が仲介会社になければ、仲介手数料は返還されません。ただし、解除の原因が仲介会社にあるなら、仲介手数料は返還しなければなりません。
仲介手数料の返還条件3:手付解除(売買のみ)
不動産売買契約の締結と同時に、買主は売主へ手付金を支払います。この手付金は別名「解約手付」と呼ばれ、売主は手付金の倍額を買主へ支払うもしくは買主は支払った手付を放棄すれば契約が解除できるのです。
手付金の支払いにより売買契約は適法に成立しており、その後に売主・買主の都合で契約解除になったため、仲介手数料は支払われるべきとされます。
仲介手数料の返還条件4:ローン特約(売買のみ)
「ローン特約」とは、売買契約締結後に行う住宅ローンの本審査が否決になった場合に、一定期間までに他の方法でも購入資金の調達ができないときは、売買契約が白紙解除されるという条項です。住宅ローンでマイホームを購入する場合には、原則として全ての売買契約でこの特約を付けます。
ローン特約による契約解除の効力は、はじめから売買契約がなかったとされ、仲介をしていないという解釈になるため、支払った仲介手数料は返還されることになります。
仲介手数料の返還条件5:買い替え特約(売買のみ)
「買い換え特約」とは、買主が自宅の売却とあわせて新たな自宅への買い換えを行っている場合に、期日までに自宅の売却が成立しなければ買い替え先の購入の売買契約を白紙解除する条項です。
この場合も、購入の契約が白紙解除されてはじめから契約がなかったものになるため、仲介手数料は発生しないとして返還に応じなければなりません。
不動産会社へ仲介手数料は値引き交渉ができる?
仲介手数料が値引きできる場合や、その場合の注意点に関して解説します。
仲介手数料の値引き交渉ができる場合
大手の不動産会社の多くは、法定上限額を請求してくるうえに値引き交渉に応じてくれる場合はあまりありません。そのため、仲介手数料が元から安い、もしくは値引き交渉に応じてくれるのは、中小不動産会社にほぼ限定されます。
また、不動産会社の仲介形態が両手仲介なら片手仲介よりも手数料収入が多くなるため、仲介手数料を値引きできる可能性は両手仲介のほうが高くなるといえるでしょう。
仲介手数料の値引きに関する注意点
借主や買主のよくない行為として、契約直前もしくは契約当日に行う値引き交渉や、契約直前に行う仲介手数料が安い不動産会社への乗り換えです。
契約締結までは仲介手数料は発生しないというルールがあるものの、そこに至るまでに不動産会社は顧客対応や内覧の立ち会い、価格交渉や物件調査および書類作成など、契約へ向けて多くの時間を費やします。
借主や買主には、不動産会社を選ぶ自由や値下げ交渉をする権利はあります。しかし、契約直前になって不動産会社の期待を裏切ったり、労力を無駄にしたりする行為は慎むべきでしょう。
したがって、不動産会社との関係がはじまってすぐに仲介手数料の値引き交渉はしづらいかもしれませんが、早い段階で済ませておくことが双方にとって大切であるとご理解ください。
仲介手数料を安く抑える方法
仲介手数料を交渉することなく安く抑えるなら、はじめから手数料を安く設定している不動産会社を選ぶことです。
仲介手数料が安いという「うたい文句」は集客においてプラスに働くため、その不動産会社は「手数料が安い」と大々的に広告しているケースがほとんどです。そのような、手数料半額や手数料ゼロなどの広告を打っている不動産会社を探しましょう。
また、片手仲介よりも両手仲介の物件で契約するほうが不動産会社の手数料収入が多いため、値引き交渉がとおりやすい可能性が高まります。もしも物件の選定で迷ったら、どの物件が仲介手数料を安くできる余地があるのか、率直に不動産会社へ尋ねてみてもよいでしょう。
他方、仲介会社を介さずに貸主や売主と直接契約する方法なら、仲介手数料は元からかかりません。貸主や売主が直接販売しているネット広告や物件に掲げた看板などを探して、自分からアプローチしてみるのもよいでしょう。
相手が貸主や売主なら、家賃や売買価格などの契約条件自体を決定する裁量があるため、賃料もしくは売買価格の値下げ交渉も大きくできるかもしれません。
仲介手数料の値引き交渉をするメリット
仲介手数料が安くなるメリットは、出費が少なくて済む点です。数万~数十万円のコストダウンができれば、そこで浮いた費用を新生活へ向けた準備資金(引っ越し費用、家具家電の購入費用、ネット環境整備費用など)として活用できるでしょう。
また、仲介手数料の値引き交渉によって仲介手数料の金額が定まるだけでなく、その不動産会社を通して家探しをするという意思表示に似た効果があります。手数料が安くなるならその不動産会社で契約したいと考え、メインの情報収集窓口として頼りにするようになります。
つまり、無意識的に付き合う不動産会社を固定することにつながるのです。
物件情報がオープンになった今では、どこの不動産会社に任せてもほぼ同じ物件の紹介を受けて内覧や契約もできます。時間や費用を最小限に抑えて家探しを効率的に行うなら、不動産会社を絞るのは有効な手段なのです。
仲介手数料の値引き交渉をするデメリット
仲介手数料の値引きがもたらすデメリットは、不動産会社の活動の鈍化(サービスの質の低下)を招く恐れがある点です。
不動産仲介会社の売上の大半は、仲介手数料収入が占めています。そして、不動産営業マンの給与体系の多くは歩合制であるため、同じ労力でもより稼げる両手仲介や法定上限額に近い手数料額が得られる案件を無意識に優先する傾向があります。
その結果、値引き交渉によって仲介手数料が安くなった案件は、担当営業マンが抱える顧客のなかでも優先度が下がって仕事の着手が後回しになり、物件情報の提供頻度の低下などサービスの充実度まで下がってしまう恐れがあるのです。
顧客が不動産会社へ仲介業務を依頼する目的は、借主・買主なら希望通りの物件を探して契約締結から物件の引き渡しまでをサポートしてもらうこと、貸主・売主なら迅速に顧客を見つけて安全に処分することです。
しかし、手数料を節約してお得になる代わりに本来の目的が達成しづらくなる恐れがあるというのは、本末転倒といえるでしょう。
仲介手数料は仲介業務への成功報酬で法定上限額が決まっている
仲介手数料とは、顧客から依頼された仲介業務の遂行に対する対価として、不動産会社へ支払われる成功報酬です。仲介手数料は賃貸と売買それぞれで法定の上限額が決められています。
仲介手数料は、契約締結後に現金一括で支払うことが原則です。ただし、自然災害の影響もしくは双方の合意解除または白紙解除特約の実行などの原因であれば、契約当事者の責任でない解除であるとして支払った仲介手数料が返還されることもあります。
仲介手数料の金額は値引き交渉によって安くなることがありますが、不動産仲介会社の収入が少ない案件は担当者のなかで業務の優先度が下がりやすいため、仲介手数料の値引きの影響を知って上手に交渉しましょう。
出典
国土交通省 宅地建物取引業とは
国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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