更新日: 2019.11.05 その他老後

老後資金を確保したいけれど、財産は自宅のみ。そんな時に役立つ「リースバック」とは?

老後資金を確保したいけれど、財産は自宅のみ。そんな時に役立つ「リースバック」とは?
筆者には、忘れられない相談があります。それは64歳の女性からの相談でした。その女性は「わが家の財産は自宅だけ」と嘆いていらっしゃいました。住み慣れた自宅を売却するのはつらいし、老後の資金は確保したい。
 
しかし、「老後のお金が心配だけど、投資にまわす余裕がない」と。多くの方がそうなのかもしれません。悩みどころですね。その時には「リバースモーゲージ」のお話をさせていただきました。最近では『リースバック』という不動産活用法も話題です。
 
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

家を売却→資金を確保し→その家に住む!

『リースバック』とは、自宅を所有しながら不動産を業者に売却し、その後リース契約を結ぶシステムです。年をとると住み慣れたわが家を離れるのはつらいものです。
 
実はこの制度、“お一人さま”の筆者も注目しています。老後私が亡くなった後、自己所有のマンションを相続する人はいません。ある程度の年になったら売却しなければいけないのかな、と考えていました。
 
リースバックの活用法を知った時、かなりテンションがあがりました(笑)。なぜなら、わが家のマンションは駅からも近く、交通の便も良く、また狭いので管理も楽。老後に引っ越してくる方もいるくらい、セキュリティー等管理体制もしっかりしています。
 
このマンションを手放すのはつらいだろうなぁと、想像できます。しかし、リース契約をすれば、そのまま自宅に住み続けることが可能になるのです。こんなにうれしいことはありません。
 

不動産を売却しても、引っ越し作業不要!!

この『リースバック』の制度、さまざまな活用法があるとのことです。最近ご相談が増えてきた「老後の自宅のサイズダウン」問題。
 
お子さんがいらした時は、大きな家に住まわれていても、社会人となり、結婚して親と同居する人は減りました。老夫婦が住むには広すぎる部屋。思いきってサイズダウンをしたいという声が多くなりました。
 
しかし、お年寄りにとって大きな問題があります。それは、サイズダウンした分、家財道具の収納をどうするかということです。処分するしかないでしょう。しかし、たくさんの思い出がつまった家財道具の処分に時間がかかります。
 
そんな時、リースバックで売却&新しい自宅の費用にあてながら、一部は賃料の支払い分として確保しておけば、仮住等の手間が省けます。引っ越しで体調不良にでもなったら、大変です。ここはのんびり、引っ越し作業をしたいものですね。
 

事業資金の確保にも

『リースバック』は、「事業用資金の確保」にも有効です。長い人生の中で、どうしても一時的に資金確保をしなくてはならない時もあります。そんな時『リースバック』を活用する方がいるそうです。
 
融資により事業規模が大きくなったら、売却した店舗・事務所・倉庫などをまた購入すればよい。その間に、引っ越しなどによるリスクやコストがないので、経費削減・売上維持もできます。最近では、離婚時の財産分与のために『リースバック』を活用する方もいるとか。
 

“お一人さま”の相続対策にも最適

先日、『リースバック』を提供している株式会社セゾンファンデックスさんに取材をしました。その時伺った話に興味深いものがありましたので、例として2つご紹介します。
 
80代後半のAさん(女性)。Aさんの夫は、生前は大変立派な立場の方で、何不自由なく、生活ができたそうです。良い時の生活水準からなかなかレベルを下げることができず、毎月の家計は赤字。夫が残してくれた預金も底をついてきて、あるのは立派な自宅不動産のみという状況です。
 
息子も自立しているので、自分が亡くなる時は、何も残す必要はない、夫との思い出がつまった自宅で死ぬまで過ごしたいとの希望で『リースバック』を行い、キャッシュを手に入れました。Aさんは「おかげさまで100歳まで生きてもぜいたくができます」と喜んでいるそうです。
 
また、別のご婦人Bさんは、生涯結婚をしなかった方。自分で働いて自宅を購入しました。しかし、配偶者も子どももいないBさんの相続人は姉妹のみ。長年連絡をとっておらず、後始末などの迷惑がかかるのも嫌なので『リースバック』されたそう。「とてもスッキリした」と安心しているそうです。
 
『リースバック』で自宅を売却すると、税金やマンションの修繕費の支払いがなくなるメリットもあります。人生100人100色。AさんやBさんのような事情がある方には、この活用法は大変有意義です。長生きした分、人生を楽しんでいただきたいと思います。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士


 

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