リースバックに審査はある? 利用にあたっての注意点についても解説
配信日: 2020.10.10
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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リースバックを利用するためには審査があります。ただ、通常のローン審査のような本人に対する審査ではなく「不動産の価値」を審査する点が大きな違いです。
今回はリースバックの審査のポイントや利用にあたっての注意点についても解説します。
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リースバック審査のポイントとは?
本人の審査ではなく、不動産の価値を審査するリースバック。では、どのようなポイントをみて判断するのでしょうか? 以下にそのポイントについて紹介します。
ローン残債が物件の売却額を上回っていないか
ローン残債よりも不動産の売却額が低い場合は、原則としてリースバック契約を結ぶことはできません。リースバックの利用を考えていてそのようなケースが判明した際には、リースバックの契約までに「ローン残債と売却額の差額を支払う」必要があります。
名義人全員の同意があるか
リースバック契約を結ぶ際には、その売却しようとしている不動産の名義人全員の同意が必須となります。
大抵の不動産の場合、世帯主かもしくは夫婦の共同名義となっていることが多いのですが、一部が相続人の名義となっているケースもあります。そのようなケースであれば、名義人となっている相続人にもリースバックを行うことをきちんと説明したうえで、同意を得る必要があります。
家賃の支払い能力があるか
リースバックの審査では基本的に本人の審査は行われませんが、売却後賃料を払って住み続けることから、賃料の支払い能力に問題がないかどうかについてはチェックされます。具体的には賃貸借契約を結ぶ際に家賃保証会社の審査を通過する必要があります。
この家賃保証会社の審査については、家賃の支払い能力や保証人の可否などが、ポイントになります。住宅ローンを支払っているのであれば支払い能力の証明になりますし、保証人がいれば審査に通る可能性が高いと考えられます。
リースバックの利用の際の注意点!
リースバックの利用において、審査以外に気を付けておきたい点があります。その内容について以下に詳しく解説します。
賃貸借契約の種類
リースバックの契約を行い、自宅を売却した後は、決められた賃料を払ってそれまでの自宅に住み続けることになります。その際に締結する賃貸借契約には「普通賃貸借契約(普通借家契約)」と「定期借家契約」の2種類が存在することを覚えておきましょう。
通常は普通賃貸借契約として、一定の期間ごとに更新していく方法をとりますが、中には期間が定められた定期借家契約となっていることがあります。定期借家契約とは5年などの期間が決められており、それ以降は更新できないという契約です。
つまり期間満了後は自宅を出ていかなければなりません。定期借家契約はかなりレアなケースですが、全くないとは限りません。しかもその内容を知らずに契約してしまうと、契約満了の際に家を明け渡すよう依頼され、慌てることにもなりかねません。
賃貸借契約を結ぶ際には、その契約内容をしっかりと説明してもらい、自分が納得できる契約内容であるかどうか確認するようにしましょう。
買い戻しの際の条件
リースバックを利用し、自宅を売却した後買い戻しを考えている人は、不動産の適正価格や買い戻しの金額、そして期限についてもしっかりと確認しておきましょう。
買い戻しの価格については売買価格の1.1倍から1.3倍が相場といわれていますが、買い戻す際の価格については、リースバックを行っている業者によって大きく変わる場合もあります。大体において買い戻し時の金額は売却時よりも高くなります。
そのため買い戻しを行うには、まとまった収入が得られる予定があることが条件となります。どちらにせよ買い戻しを行うためにはまとまった資金が必要です。したがって買い戻しを視野に入れているのであれば、そのための資金計画をしっかり立てておくことが大切です。
リースバック利用の際に想定されるトラブルとは?
ここまでリースバックの審査のポイントと利用にあたっての注意点について解説しましたが、やはりまだそこまで認知度も少ないため、トラブルに発生することもあります。したがって実際に起こりえるトラブルにはどのようなものがあるのかをきちんと理解し、契約の際にはそのようなトラブルに巻き込まれないように事前に対策を採っておくことも必要です。
賃料が思った以上に高く、支払いが厳しくなった
多くのリースバックでは、家賃については「買い取り価格の約10%」もしくは「買い取り価格×期待利回り(年率)/12ヶ月」で計算されています。
期待利回りについては、通常の不動産投資の利回りよりも高く設定されることが多いため、例えば買い取り額が1200万円の場合、月々の家賃は
(1200万円×期待利回り10%)/12=10万円
となります。
一見合理的な家賃設定ですが、この家賃は周辺の家賃相場や借り主の返済能力を無視した設定となっています。そのため、相場よりも高い賃料を払うことになる可能性もあります。もちろん、賃料の支払い能力を審査されますので、当初から払えなくなることはないでしょう。
しかし、いろんな出費が重なり、売却して得た資産が尽きてしまった場合、賃料が払えなくなることも想定されます。もし、賃料が払えなくなった場合どうなるのでしょうか? 当然ながら、賃料が払えなくなった場合は退去を命じられます。
したがって、賃料の支払い能力については審査のみにまかせるのではなく、自分でライフプランを加味したシミュレーションを行い、無理のない支払額であるかどうかきちんと確認しておくようにしましょう。
リースバック契約先不動産会社の倒産
あってはならないことですが、リースバックの契約先不動産会社が倒産し、売却した家の所有権が第三者に移転するケースも考えられます。もちろん所有権が第三者に移っても今までと同じ条件で住み続けることもできるでしょう。しかし、中には所有権が移ったことを理由に賃料の値上げや、最悪の場合家の明け渡しを要求されることもあります。
そのようなことを防ぐには、契約の時点で相手先の不動産会社に倒産のリスクはないかどうか、しっかりと調べることが必要です。そのためにはできれば複数の不動産会社ときちんと話をし、「これまでの実績はどうか」「アフターフォローなどがしっかりしているか」などを自身で確認し、安全な契約先を選ぶようにすることが大切です。
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まとめ
リースバックにおいては、不動産に買い手がつく価値があり、住宅ローンの返済も滞りがないのであれば、契約の締結は可能です。また、賃貸借での不動産審査が通過するのであれば、リースバック契約は結べることから、リースバック契約を希望するにあたり、そこまで審査を恐れる必要はないといえるでしょう。
ただ、まだそこまで認知されていないところもあることから、よくわからないまま契約することでトラブルに巻き込まれるケースも想定されます。このようなトラブル回避は原則として自己責任となります。したがって自分で利用にあたっての注意点をしっかり理解し、できる解決策は必ず取っておくようにしてください。
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員