人生100年時代! マイホームを活用した老後の資金調達策は「リバースモーゲージ」のほかにもないの?

配信日: 2020.04.26

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人生100年時代! マイホームを活用した老後の資金調達策は「リバースモーゲージ」のほかにもないの?
「人生100年時代」といわれる長寿高齢社会ですが、一方で「長生きリスク」も叫ばれています。老後の時間が長くなるため、健康、そしておカネがどうなっていくのか、そんなことが以前よりもずっと気になる世の中なのです。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

資産づくりや運用・活用は、これまで以上に重要です

長生きをすれば、それだけおカネも多く必要となります。昨年いろいろと物議をかもした「老後2000万円問題」も、月額約5万円とされる赤字をどうするかが話のベースです。
 
年金など社会保障制度に問題があるのか、それとも生活の中身によっては自助努力の上積みが必要だという指摘に過ぎないのか、意見もさまざまでした。いずれにしても、資産づくりや資産の運用・活用などが、これまで以上に重要なテーマになっていることは間違いないでしょう。
 
そしてリタイア期以降には、新たな資産づくりよりも保有している資産を使っていくことが中心となります。資産残高はやがて減っていく流れですので、どう運用するのか、どんなタイミングでどのように処分するのか、そんなことに関心が向くのです。

一番の資産は、やはりマイホーム

長年の資産づくりの中で、時間もおカネも一番かけていると思われるのが「マイホーム」です。これを活用して老後資金を調達する手段としては、次の3つがよく挙げられます。

(1)売却して住み替える

・売却で得られた資金の範囲内で別のマイホームや賃貸住宅に入居する。
・売却資金と住み替え費用の差額を老後資金として活用できる。

(2)リバースモーゲージ <住み続けてから売る>

・マイホームを担保にして融資を受け、死亡時など契約終了後に売却して債務を完済する。
・売却するまで、今までとおり住み続けることができる。

(3)リースバック <売ってから住み続ける>

・マイホームを業者に一旦に売却したうえで、家賃を払ってそのまま入居し続ける。
・売却資金と家賃負担(長期間分)の差額を老後資金として活用できる。
 
それぞれにメリットとデメリットがありますが、いずれのやり方も「売る」ことが共通した前提です。老後資金のためだから「売る」のは当たり前とも思えますが、売らずにうまく活かしながら資金を手に入れるようなやり方は、ないものでしょうか。

マイホームを売らずに活用するやり方とは?

それは、マイホームの換金性について「ストック」よりも「フロー」に着目する視点。つまり「売却して、1回だけ大きな金額を手に入れる」のではなく、「賃貸して、月々の家賃を継続的に手に入れる」のです。
 
もちろん、賃貸するので住み続けることはできません。また長年住み続けていますから、賃貸するにはリフォームや補修が必要な場合もあります。さらに、エリアごとの需給関係などからそもそも賃貸が可能なのかどうかも気になるところです。
 
とはいえ、分譲マンションの中で賃貸されている住戸があることはごく普通に見られます。交通便や立地がよければ、それなりの家賃で安定的に賃貸できるケースも多いでしょう。戸建の場合はケースバイケースですが、長期間の家賃保証をしてくれるような仕組みもあります。
 
例えば、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」(※1)では、「シニアの皆さま(50歳以上)のマイホームを借上げ、国の基金によるサポートも得て、安定した賃料収入を保証するものです」と説明しています。
 
賃料収入をもとにJTIの提携金融機関ローンを利用することも可能(※2)で、いろいろと条件はありますが、資金の使いみちが自由なタイプなども用意されています。

まとめ

このやり方はマイホームを明け渡すのですから、次の住まいを買ったり借りたりして確保しなければなりません。とはいえ、もしも相応の家賃収入を得られるのであれば、次の住まいも含めてライフスタイルの選択肢がより広がって、有用な仕組みになるかもしれません。
 
「長生きリスク」には、健康の寿命そしておカネの寿命を延ばしながら向き合うことが必要です。大切な資産であるマイホームについても「売る」以外の策も検討しながら、“合わせ技”で長い老後を乗り切っていく視点を持っておきたいものです。
 
[出典]
(※1)一般社団法人移住・住みかえ支援機構 「移住・住みかえ支援機構(JTI)について」
(※2)一般社団法人移住・住みかえ支援機構 「マイホーム借上げ制度 最低家賃保証型」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士


 

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